大相撲5月場所終了 力士が手にする所得はこの3種類だ

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 大相撲の5月場所が終了し、輝ノ富士が懸賞金800万円以上を手にし優勝した。力士の収入は給与所得、事業所得、一時所得という三種類の所得に振り分けて税金計算を考えなければならない。すなわち力士たちはある時はサラリーマン、ある時は個人事業主として、横綱となることを目指した勝負の世界でお金の計算もしなければならない立場なのだ。

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5月場所終了 輝ノ富士の懸賞総額は約830万

 大相撲5月場所は24日(日)、東京都の国技館で千秋楽を迎え、東関脇・照ノ富士(モンゴル出身:23歳)が見事に初優勝を遂げた。

 日本相撲協会は輝ノ富士を大関に昇進させる方針で既に一致しており、今月末には正式に新大関が誕生する予定だ。

 2011年5月場所から実に4年、25場所でのスピード優勝と大関昇進を決めたことで、輝ノ富士に更なる注目が集まる。

 実に懸賞金だけで830万円以上の収入を輝ノ富士は手に入れたが、一般的に大相撲の「力士」たちはどんな立場で、どのような収入を受け取っているのか、本稿で解説したい。

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大相撲力士が手にする所得はこの3種類だ

 まず「力士」について厳密な定義を最初に提示したい。

 国技館で相撲を取る相撲取りは全てが「力士」ではない。正確な「力士」の定義は、「日本相撲協会に籍があり、かつ十両以上の階級に在位する相撲取り」のことである。

 十両より下、つまり幕下以下の力士達は「力士養成員」という立場に過ぎず、一般社会的な立場で言えばアルバイトの身分になる。

 力士養成員達は2ヶ月に一回、10万円前後の「場所手当」をもらい、勝ち星を上げた時には数千円程度の報奨金を手にし、タニマチ達からたまにお小遣いをもらう、というのが収入のほぼ全てだ。その代わり部屋預かりで、親方たちに衣食住の面倒を診てもらう。

 それに対して十両以上の力士たちには、以下の収入が入ってくる。

1)給与所得:サラリーマン的収入

 十両以上の力士たちには、日本相撲協会から給与と力士褒賞金が支払われる。横綱の場合は、給与280万円が毎月支払われ、2月に一回力士褒賞金150万円が支払われる。ボーナスは9月と12月の年2回で給与1ヶ月分を支払われるが、在位する位によりその額は変動する。これは一般サラリーマン同様に給与所得として課税対象となる。

2)事業所得:事業主的な収入

 横断幕の告知と共にスポンサー達から支払われる懸賞金は一口62,000円であり、これは一時所得となる。ちなみに白鵬は5月場所だけで1,830万円の懸賞金を手にしている。懸賞金は一口62,000円のうち5,000円が相撲協会の取り分として差し引かれ、残額から経費を差し引いたうちの金額について、所得額に応じて5〜45%の間で税金を支払う必要がある。この場合力士は、個人事業主として扱われる。3賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞)の報酬も事業所得として分類される。

3)一時所得:臨時扱いの収入

 いわゆる「タニマチ」達から受け取る金品のうち法人からの授与分は、一時所得として計算される。一時所得は収入から経費と控除額(最大50万円)を差し引いた額の50%に税金が課税される。税率は事業所得同様に、収入金額に応じて5〜45%の間で計算される。なおタニマチから個人として受け取る金品は「贈与」として税金の対象となる。

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力士は雇われとも個人事業主とも言えぬ立場

 力士たちは上記のように所得を3つの区分で考えて振り分けて、税金を支払わなければならない。彼らは「あるときはサラリーマン、あるときは個人事業主」となるのだ。

 特に事業所得については、個人事業主として確定申告を行う必要があり、事業所得が1,000万円を超えた場合は、消費税を支払う必要も生じる。

 なお個人事業主に課せられる「個人事業税」については、詳細に決められた区分外のため支払う必要がない。

 限られたものだけが「横綱」として君臨できる勝負の世界では、経理も複雑になる。

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