「おくりびと」制作会社が国におくり返した追徴課税額を計算してみた

節税

 大ヒット映画「おくりびと」を手がけたセディック社が5年間で約10億円の所得隠しを国税局に指摘され、追徴課税額は約4億円となった。脱税の悪質さレベルが高い場合は、大きなペナルティが与えられる。本稿ではセディック社が具体的にどのくらいの規模でペナルティを受けたか計算してみた。翻って合法的な節税を行いたい。

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おくりびと 脱税バレ逆に国へお金送り返し

 29日(水)、アカデミー賞を受賞した大ヒット映画「おくりびと」を手がけた「セディックインターナショナル社」(以下セディック社)が、東京国税局に、海外での興行収入を別口座に隠したり、製作費の一部について二重計上を行い経費を水増しするなどの手段で、2012年8月期までの5年間で約10億円の所得隠しを指摘されたと報道されている。
 
 追徴課税額は約4億円に登ると推測されているが、この中には加算税・延滞税というペナルティがしっかり追加されている。
 
 「おくりびと」で得た利益を隠したつもりが、国税局に税金を多く「おくり返して」しまったのだ。
 
 追徴課税は脱税の悪質レベルによって大きく変わり、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税、という三種類のペナルティが設けられている。
 
 セディック社は過去5年を遡り追徴課税を支払うよう求められていることから、一番悪質レベルの高いときに課せられる重加算税をかせられたと推測できる。
 
 では重加算税がどのような内訳で、どのくらいの額を取られることになったか、シュミレーション計算してみよう。

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お主ワルよのう 所得隠しの痛すぎる代償

 
 セディック社の追徴課税計算にあたり、以下の前提条件を提示する。

  • 1)資本金:1千万円
  • 2)本来申告すべき追加所得:10億円

 1)、2)を元に、本来支払えば良かった法人税支払額は、隠した所得額10億円×法人税率25.5%=2.55億円と算段できる。

     脱税が行われたことで、国税局は以下のペナルティを加算したと思われる。計算式は国税局HPを参照に作成した。※1

  • 1)重加算税:未払い法人税2.55億円×重加算税率40%=1億200万円
  • 2)過少申告加算税:未払い法人税2.55億円×加算税率15%=3,825万円
  • 3)延滞税:未払法人税2.55億円×延滞税率14.6%÷1825(5年×365日)×365=744万円
  • 4)総追徴課税額推計:約1億4,700万円

  
 追徴課税が約1.5億円加算されたことで、本来約2.5億円の支払いで済むはずの税金について1.5倍の支払い、約4億円を要することになった計算だ。
 
 倍返しとはいかなくとも痛すぎる代償となった。

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脱税は他にも痛い代償あり 合法節税しよう

 
 脱税には他にも大きなデメリットがある。
 
 追徴課税は損金扱いできないため、金額規模によっては会社のキャッシュ・フローに悪影響を及ぼす。また、報道などで報じられた場合には社会的信用も失う可能性がある。
 
 節税対策に長けた税理士や会計士を顧問にし、よく相談しながら合法的な節税を行いたい。
 
※1 国税局HP
https://www.nta.go.jp/shiraberu/index.htm

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