節約 社長
大原達朗
大原達朗アルテパートナーズ株式会社代表取締役/公認会計士・JMAA認定M&Aアドバイザー

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財務に問題なくとも大正製薬がリストラを激しく進めるのは正しい

財務に問題なくとも大正製薬がリストラを激しく進めるのは正しい
 創業以来、初めて従業員全体の15%を早期退職させるなど、大正製薬の激しいリストラが進んでいます。一方で同社の財務諸表を見てみると、業績は低迷していますが、無借金経営かつキャッシュリッチの安定した財務基盤を見て取れます。しかし、「そうであっても大正製薬がリストラを激しく進めるのは正しい」と筆者の大原さんはおっしゃいます。その理由とは?

創業以来初の激しいリストラを断行する大正製薬

 医薬品メーカーで大きな業界再編(M&A)やリストラが進んでいます。

 その中でも特に思い切った、激しいリストラを進めているのが、ワシのマークで知られる大正製薬です。

 創業以来初となる早期退職では、実に従業員全体の15%にあたる948人をリストラし、更には富士フィルムとの業務提携を解消、34%の株式を保有していた富山化学工業の株式も売却に入っています。

 リポビタンD、パブロン、スカルプDなど、大衆薬品で大ヒット商品を数々保有する同社で、これほど大きなリストラはかつて行われたことがありません。

大正製薬の財務状況を見ると激しいリストラは一見不要に見える

 リストラを激しく進める大正製薬ですが、どれほど業績が厳しいのだろうと業績を確認するとまったく問題がない状態でした。

節約社長
参考リンク:大正製薬業績ハイライト

 しかもキャッシュリッチで、売上が3,000億円前後ある製薬会社であり、無借金経営です。

 確かに今は業績が長期停滞という状況ですが、何かをしなくても会社が傾く状態ではありません。従って、この状況でのリストラに対して、従業員の中には大きな不満を抱く方も多いことでしょう。

 一方で、リストラを進めるのであれば、今が絶好です。借入をする必要もなく、短期的に業績が悪化しても会社が崩れにくいからです。

 その前に、激しくリストラを行えば、会社が軽くなる分、儲かる分野(前述の大衆薬品)に資源を集中させられます。

 批判も多いでしょうが、経営の視点から見れば、勇気ある決断と言えるでしょう。

財務が本格的に悪化してからリストラしても遅い

 というのも、業績が悪化すると、資金調達にも難儀することになります。

 大塚家具の例を見ればよくわかる話です。幾らキャッシュリッチであった企業も、うまくいかない分野を迅速に損切りできなければ、たちまち資金繰りに難儀し始めます。銀行はそうなってからではこちらを向いてくれません。

 こうなると、リストラそのものすら、簡単にできなくなってしまいます。

 大正製薬のやり方が必ずしも正しいとは限りませんが、経営者の仕事は、必ずしも確定しない将来に向かって舵を切り、実行することです。

 従業員と考えが合わなかったり、世間からバッシングを受けることもあるでしょう。だとしても、至上命題である会社のリストラクチャリング、業績の立て直し以外に、回復の道はありません。

 もちろん、そんなことをせずに乗り越えていけるのであれば、それに越したことはありませんが…企業は生き物です。

 どんなに好業績を誇る企業であれ、安定しているように見える企業であれ、どこかで業績が曲がり角を迎えるなどして、経営者は「血を流す」判断を迫られるタイミングを必ず一度は経験します。

 今回の大正製薬が行っているリストラを、読者の皆様にもぜひ自分事として、引き続きウォッチしていただければと思います。

Photo credit: urbaning on Visual hunt / CC BY-ND

2018年10月25日

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大原達朗
大原達朗アルテパートナーズ株式会社代表取締役/公認会計士・JMAA認定M&Aアドバイザー

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