人間の本能「臆病」を乗り越え、チャンスを掴むために必要なモノ

起業
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本能のままに生きると不利になる現代社会

PayPal社、テスラ・モーターズ社、スペースX社と連続して、社会に大きな変化を与えるビジネスを立ち上げる天才起業家、イーロン・マスク氏。

おそらく読者の皆さんもご存知のことでしょう。

大人気映画「アイアンマン」のモデルにもなった、あの伝説的な起業家です。

私には、彼がTEDの動画で語ったコメントの中で今も印象に残り続けている言葉があります。

「直感に反することが実は正解であることが多い」

彼はこれまでの人生で、何度もとてつもないリスクを背負いながら、数々の危機を乗り越えて世界的な経営者としてその名を馳せています。

たとえば、スペースX社に関するイーロン・マスクへの以下インタビュー動画を見てみましょう。

 

インタビュアーが「私は火星にいつ住み始められますか?」と尋ねると、イーロン・マスクは「10年後、もしかすると9年後には住めるでしょう。」と毅然とコメントします。

イーロン・マスクはアメリカの2chのような掲示板で、成功した今であっても、これらのような壮大なプロジェクトを打ち上げるコメントを出す毎に「現代のドン・キホーテ」などと囃し立てられます。

しかし、起業や投資の世界では、リスクとリターンに比例法則が成り立っており、より本能や直感に反してリスクテイクすることが大きなイノベーションやリターンを生み出しているのが紛れもない現実です。

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私達のステップアップを阻害する人間の本能

毎日を平和に波風立てず生きることができれば、本能に反する必要はあまりないかもしれません。

たとえば、「なんか不安だな」と感じたことを避ける。「怖いな」と思ったことから逃げる。そのような生き方も一つのあり方です。これを否定するつもりは全くありません。

しかし、自分自身が変化していなくても現代社会はスピーディーに変化しています。

特に、ビジネスという側面に限定して考えると、時代に必要とされるためにも、自分自身、そしてあなたが会社を経営しているなら、会社自体もリスクを取ったアップデートが不可欠です。

変われなくなった時、リスクを取れなくなった時、チャレンジしなくなった時、事業や企業は緩やかな「死」へ向かいます。

一方、もしあなたが、

  • 自分の人生を大きく飛躍させたい
  • 旧態依然とした世界に風穴をあけたい
  • ビジネスの世界で大きな成功を手にしたい

と考えるのであれば、「本能があなたの成功を妨げるブレーキになることがある」ことを知る必要があります。

例えば今、会社勤めでありながら、このように考えている人は多いのではないでしょうか。

「今の自分はスキルを存分に活かせていない。この会社では活かせない。」

「自分の成果や才能を会社の上層部に認めてもらえていない」

「自分の能力に対して会社から相応の対価を受け取れていない」

このような不満を抱え、「自分が得るべきことが当然」と考える正当な評価ややりがいを求めて、転職や起業を検討する人もいるでしょう。

しかし、いざ転職や起業する際には、この本能が鎌首をもたげてきます。

「待てよ。転職に失敗したらどうしよう。世間体も悪くなり、外を歩けなくなるかもしれない。」

「とはいえなぁ…路頭に迷うのはやっぱり不安だ。起業はとりあえず今は我慢しよう」

こういった本能は、私達のステップアップに歯止めをかける大きな要因となります。

実際、私は東京の外資系企業で働いている時に、高学歴かつビジネスにおいても優秀でありながら、会社に不満を抱えており、転職や起業を検討しているのに、実行しない人達を何人も見てきました。

「自分はこの会社に正当な評価を受けていないので、自分を正しく見てくれる会社に行く!」

そう言いながら、今でも同じ会社で文句を言いながら働き続けている先輩がいます。

「自分には〜という成功確率の高い起業プランがある!自分は起業して成功するぞ!」

このように豪語していた優秀な同僚も、未だにその時のプランを温めたまま会社に残っています。

彼らはビジネスに対する能力は高く、実際に一歩踏み出すことで成果を挙げられると思います。しかし、実際に飛躍を阻んでいるのは、能力不足や経験不足といったものではなく「本能」なのです。

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「変化やリスクを嫌い現状維持を望む」のが人間の本能

このような人間の本能は一言で表せば、「変化やリスクを嫌い現状維持を望む」に尽きるでしょう。

本能は常に自己の生命を優先させます。

行動の選択を行う際の優先度も常に「現在>未来」に設定されています。つまり、未来の自分を飛躍させるより、今現在この瞬間の自分をリスクから守ることに最優先されているのです。

例えば、転職や起業という選択肢に対して本能は、転職してステップアップすることを「リスク」とみなし、起業により起こりうる不確実な出来事を「脅威」とみなします。

現在の環境で安定的な報酬を得たり、安定した生活を手にしているなら、より一層、本能は一歩を踏み出すブレーキになってしまいます。

本能は未来より現在を優先させる、これにより変化を嫌い、現状維持を当人に選択させます。

このように本能の本質を語ると、「本能なんて“ろくなもの”ではない」と、その存在を否定するような考え方をする人もいるかもしれません。

しかし、それは大きな誤解です。本能があるからこそ、人類はここまで生き延びることができたのです。

一旦、人類が今ほど高度な文明を持っていなかった頃、それこそ自然物を活かした簡易な道具、火くらいしか使えるものが無かった太古の時代に思いを馳せてみましょう。

たとえば原始時代、農耕の技術も少なかった頃は食資源も今より当然乏しいものでした。この時、ちょうど飢饉が発生していたとしましょう。

飢餓に喘いで食料を探していた人間が、山の中にある植物を採取している最中で、見知らぬ「美味しそうだけど見たことのない」キノコを発見したとします。

「お!見たことのないきのこだけど美味しそう!ラッキー、もう何日も食べてないから、とにかく食べよう!!」

そう思って、よくわからないきのこだけどとりあえず口に入れると、実はそのきのこが毒キノコで、その人間は死んでしまいました。

また、同じように必死に食物にありつきたいと考えて狩りに出かけた男性が、得体の知れない動物を発見し、狩ろうと近づいたところ、返り討ちにあってしまい、自らの命を落としてしまいました。

このような体験を通じて、人類は時代を経る毎に、変化やリスクを嫌う本能を獲得してきました。これは人類が生き延びる上で必要不可欠なものだったのです。

従って、「変化やリスクを嫌うのが人間の本能」であり、本能は人間の行動や心理に絶大なる影響を与えています。それを解き放つことは容易ではありません。

たとえ、あなたが変化やリスクに直面してひるんだとて、「自分は変化できないダメ人間だ」と責める必要は一切ありません。それがむしろ普通なのです。

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成功者は本能を否定することも、これに盲目に従うこともしない

ただし、現代社会において、本能に従うままに生きていくだけでは、不利になる局面のほうが多いのも事実です。

起業家で言えば「不安だから」「リスクがあるから」、と周囲と全く同じビジネスをしていては横並びになってしまいます。横並びのビジネスは付加価値を出すことができませんから、そのビジネスは必要とされず、衰退していくことは確定的です。

同じ理由で起業をいつまでもしなければ、その人にとって経営者として「生きる」時間はどんどん減っていき、リスクはかえって高まります。

投資も同じです。不安だからと自分の感情に任せていては、市場全体が拡大する局面以外では勝つことができません。

そして、本能の本質を知った起業家や投資家は、これに為す術も無く従ったり、否定的になる、といった極端に走ることはありません。

「本能を必要に応じてコントロールする」という発想を持っているのです。先述のイーロン・マスクがその良い例でしょう。

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本能を乗り越え、成功に向かって行動を起こすのに必要なものは「知識」

では、本能の本質である「変化やリスクを嫌い現状維持を望む」という意識レベルを乗り越え、行動を起こすには何が必要なのでしょうか?

必要なのは「知識」です。

例えば、起業について言えば、他の人がやらないことをするのは当然不安を感じます。

「全くお客様に受けなかったらどうしよう?」

「批判が来たらどうしよう?」

どうしても本能は悲観的な考えを私達に想起させます。

しかし、これらの不安は本能が呼び起こすものに過ぎず、多くの場合は起業家や投資家にとって、本能に服従して選択する行動は、実際には正しい思考・行動ではないことが多いのです。

ビジネスで利益を得るためには付加価値を提供することが全てです。

ならば、「他の人がやっていないことこそが価値提供」になるということをしっかり理解しておけば、不安を乗り越え、横並びから脱することが出来るわけです。そのためにどうすればよいのかについて、知識を得て、実践することで本能の呪縛から脱することができます。

ロスチャイルド家、ロックフェラー家、モルガン家、ケネディ家など、著名な投資家は投資について必要な知識を持っていました。

たとえば、ケネディ家の財をかつて無きまでに築きあげたジョセフ・P・ケネディには、こんなエピソードが残っています。

1928年冬、ウォール街のオフィスに向かう途中で、ジョセフは偶然見かけた靴磨きの少年に靴を磨いてもらうことになった。

リップ・サービスもあったのかもしれないが、少年は靴磨きを終えた後、ジョセフに向かって「おじさん、◯◯って会社が絶好調らしいよ。◯◯の株を買いなよ」と進言して来た。

靴磨きの少年から話を聴いたジョセフが起こした行動、それは全ての株を売り払うことだった。

彼はその後、相場が下がると考え大きな空売りをかけ、やがて、暗黒の木曜日を発端に世界恐慌が世界を襲った。ただし、ジョセフはこの騒動下で更に巨額の富を得た。

投資の世界の格言に、「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中に育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」というものがあります。

靴磨きの少年まで株に興味を持ち始めたことに“世の中の幸福感”を察知したジョセフ・P・ケネディは、まさにこの格言から得た知識を腹のうちまで落とし込み、実践に移すことが出来たので、更なる成功を手に入れました。

昨年の仮想通貨投資で起きた狂想曲も、投資に関する知識がある人と無い人の明暗をわけた典型的な一例でしょう。

仮想通貨は2017年末、大いに盛り上がり、ビットコインは一気に230万円まで急騰しました。

その時こぞってビットコインを買い漁りはじめたのは?それまで仮想通貨に参加していなかった人々でした。

あの局面で投資に関する知識を持っていない人たちは「まだまだビットコインの金額は上がる!」と本気で信じて投資しました。

しかし、投資の理論を考えると正しくは「真逆の行動」をとるのが正解です。

私の周囲でビットコインを持っている資産家(皆遊び程度しか買わないと言っていた)は、ビットコインの上昇がニュースで盛んに報道されたのを機に、これを一気に現金化した人が殆どでした。

翻って、現在のように価格が低迷している今のような安いうち(ちなみに2018年9月20日現在のビットコイン価格は70万円前後を推移。狂想曲が起きていた時の3分の1以下)に買っておく、更なる混乱が起きた時に喜んで買うというのが、逆張り投資になります。

このように、ビジネスや投資の世界で起こっている成功事例、失敗事例を見ることで、本能乗り越えるためには知識が必要、ということがおわかり頂けると思います。本能をコントロールするための第一歩は「正しい知識を付けること」に他なりません。

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知識とはヘリコプターで上空から俯瞰すること

知識を得ることは、ヘリコプターで上空に飛び、そこから地上を俯瞰するようなものです。

ヘリコプターで上空から見ているわけですから、自分の背丈の目線では見えなかったものが見えるようになります。

知識をつける有用性は、まさにここにあります。

インターネットの普及により、誰でも簡単に情報を手に入れることが出来る今、知識を身につける有用性は失われたかのように思われます。

しかし、そもそも知識が頭の中に入っていなければ、上空から地上を俯瞰することはできません。

ネット全盛期の現代社会であっても、個人として必要な知識をインプットしておくことの有用性は全く失われていません。

今後ますます、知識を身につけることに時間を投資し、本能をコントロール出来る人と、それを疎かにして本能に翻弄される人との間で、ビジネス格差は開いていきます。

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黒坂 岳央

複数のビジネスを手がけています。

・高級フルーツギフトショップ「水菓子 肥後庵」代表者
・ビジネスジャーナリスト(プレジデントなどビジネス誌、アゴラ、ZUU、マネープラスなどのネットメディア、テレビ番組、ラジオ番組出演多数)
・アフィリエイター
・英語ビジネス(書籍出版、雑誌やメディアコラム執筆、その他)
・投資家(株式投資、仮想通貨、不動産、FXなど)

その他、講演活動など。

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