16期連続最高益のニトリ 世界の果てまでイッテ節約

企業分析

 消費税増税や円安の影響など内需企業にとっては悪材料が豊富であったにも関わらず、ニトリは16期連続で最高益を出している優良企業である。直近の一人あたり経常利益を、御家騒動に揺れた大塚家具と比較しても10倍以上の開きがある。徹底的な効率化について妥協せず、世界を股にかけて資材を1円でも安く節約して購入しようとする姿勢から学ぶことは多い。

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16期連続最高益を達成 ニトリは破竹の勢い

 「お、ねだん以上」というCMでお馴染みのニトリは、16期連続で最高益を出している。2015年2月期の連結決算で、売上と純利益共に8%増を達成し、純利益は実に414億円に到達した。

 消費税増税や円安の影響など内需企業にとっては悪材料が豊富であったにも関わらず、客単価の上昇や自社開発商品の売上アップでそれを補ったことが要因である。

 ニトリの凄さを知るなら、同業種企業と”1人あたりの経常利益”を比較すれば良くわかる。

 1人あたりの経常利益とは、社員1人あたりが生み出す経常利益を指す指標で、「経常利益÷従業員数」で導き出される数字だ。金額が高ければ高いほど、会社全体の活動を通じて、効率的に売り上げを獲得していることを示す。

 直近の一人あたり経常利益を、御家騒動に揺れた大塚家具と比較すると、大塚家具は年間で56.8万円/人、ニトリホールディングスは758万円/人となり、ニトリが如何に圧倒的な収益性を築いているかわかる。

 ちなみにこの数字は、上場企業内でも上位5%以内の優秀な数値である。

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ニトリが当たり前のように行うコスト削減術

 ニトリが躍進を続ける要因は、当たり前のようでほとんどの企業が達成できていない、コスト削減徹底にある。以下提示する。

1)原料探しは世界の果てまでイッテ節約購入

 オリジナル家具の開発に必要な原料選びを行うために、世界各地で原料探しを行っている。調達先の拠点だけでもなんと中国、マレーシア、 タイなど7ヵ国15ヵ所に及ぶ。圧倒的な原材料の安さを求めながら、品質、機能など諸条件が合うか徹底的な調査をニトリは行う。調達拠点だった国が新たな商圏となった時に、その場所は他社に真似できぬ物流を組み立てる役割も果たす。

2)商社を介在させない”完全なる自前主義”

 一般的に家具業界は何社かの帳合を通じて商品が最終的に小売へ流れる。しかしニトリは開発・ 製造・物流-・小売・アフターサービスに至るまで、基本的に全てを自前で行う。自社開発には生みの苦しみが伴うが、いったん完成させてしまえばコストの合理化やノウハウが蓄積できるメリットがある。商社など中間サービスのマージンが排除され、消費者が購入しやすい価格を実現させている。アメリカの小売業と同様の仕組みを実現している。

3)別名・製造物流小売業 徹底的に物流が強い

 ニトリは製造小売業であるが、「製造物流小売業」を営んでいると言われるほど、物流拠点の開発、物流コストの効率化に取り組み成功している。現在はグループ会社「ホームロジスティクス」が物流を担っているが、元はニトリの事業が分社化したものであり、今はニトリで築きあげた物流網を利用してあらゆる商品を全国に小ロットかつ安価な料金で運送している。家具という運送費用が高い商品を効率的に運ばれば、他のモノはお手の物といったところである。

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インターネットでも倍々で顧客開拓に成功

 大きな店舗を郊外に構える印象の強いニトリだが、インターネット通販にも力を入れており、その売上は順調に伸びている。店舗売上と比較すると2.3%と低いシェアではあるが、2014年4月には年間120億円を突破し、前年比145%と倍々ゲームのように伸ばしている。

 徹底的な効率化を妥協せず、資材を1円でも安く節約して購入しようとする姿勢が、積もり積もって大きな利益につながることを示す良い事例として、これからもニトリに注目していきたい。

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