マネックスがコインチェックを36億円で買収〜財務的には大正解かつお買い得!

マネックス証券が、仮想通貨取引所を運営するコインチェックを36億円で買収すると報道されています。仮想通貨交換業者の登録がおそらく済んでおり、NEMの580億円を支払い終えても昨年保有していた以上の純資産を持っており、顧客も抱えている。更にコーポレートガバナンスも強化し、自社ブランドを使えることから36億円の買い物は非常にお買い得と言えます。
マネックスがコインチェックを36億円で買収
マネックス証券が、仮想通貨取引所を運営するコインチェックを36億円で買収すると報道されています。コインチェックのリスクは取扱業者として認可されるのか、あるいは一連の騒動の中で、損害賠償請求がどれだけ及ぶのか、ということでしょう。
この点についての詳細は、金融庁の登録一覧では確認できていませんが、マネックスからのIRで開示されています。
参考リンク:株式取得によるコインチェック株式会社の完全子会社化に関するお知らせ
その中で、特記事項として、以下のような条件をつけているため、おそらく発表の段階でクリアしています。
コインチェックの完全子会社化は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律第 10 条第 2 項に基づく届出にかかる公正取引委員会審査の結果において、排除措置命令の発令等、株式取得の実行を妨げる要因が存在しないことが前提となります。
コインチェックは580億円を支払い終えても純資産が昨年を上回る
損害賠償についても、NEMの紛失分については、自己勘定からすでに返済が終わっているということで、リスクはかなり低いものと見て良いでしょう。しかし、流出額は580億円相当ですから、財務がどの程度傷んでいるのかは追々、確認をしたいところです。
IRを見る限り、
コインチェックの 2018 年 3 月期末の純資産額(見込み)は、同社が 2018 年 3 月 12 日に実施した不正に送金された仮想通貨 NEM の保有者に対する補償後においても、2017 年 3 月期末の純資産額を下回らないと認識しています。
とありますから、5.54億円以上の純資産額が580億円を支払い終えてなお、コインチェックにあると考えて良いでしょう。
さらに久保利先生を取締役に招いていることから、徹底的に外部からみてもわかりやすい、シビアなコーポレートガバナンスを実施するものと思われます。
彼は、マルハニチロ、ゼンショーグループで起きた不祥事問題を、第三者委員会の委員長として解決してきた敏腕弁護士です。
リスク管理したうえの36億円買収はマネックスにとってはお買い得
このようにリスクを最小限に抑える措置を取った上で数字を見返すと、1年前の売上が980百万円、当期純利益が471百万円です。1年間でこの数値は大幅に増えているはずです。
もちろん、NEMの返金損失がでているはずですが、その異常要因を除けば相当な利益が見込めます。
それを36億円で買収ですから、相当安い買い物でしょう。もちろん上記のようなリスクを含んでの買収ですが、スタート時点で、相当なリスク管理の対応をしています。
今、仮想通貨に対して、大切なことは顧客の信用力です。これをマネックスが補填して、一気にシェア拡大を狙っていくのでしょう。
マネックスにとってはリスク管理もなんとかでき、取り組む価値のある取引だと思います。
マネックスはIRの中でも、仮想通貨取引所事業への参入を、「第二の創業」と位置づけています。
1999年の創業以来、証券業を母体としてやってきた中で、意図的ではないと言えど、コインチェックの情報漏えいをチャンスに変え、大きな漁夫の利を得たと言っても過言ではありません。
2018年4月11日