ギネスブックにも載るプロゲーマー、梅原大吾氏の強さの秘密とキャリア論

経営

 「世界でもっとも長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」「最も視聴されたビデオゲームの試合」など数々のギネス記録を持つ、「eスポーツ」界の生ける伝説といえば梅原大吾氏です。彼の強さの秘密とは?成長の踊り場を払拭した「ある気づき」とは?ビジネスマンとして、プロフェッショナルとして、どのようにキャリアを切り拓いていけば良いのかを彼の経験から学べます。

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人の身体能力のすばらしさ、可能性を競い合う「eスポーツ」

 こんにちは。マーケティングコンサルタントの松尾です。

 今年2018年のお正月、東京は晴天に恵まれましたね。2020年のオリンピック・パラリンピックまで残り2年となり、待ち遠しい気分はますます盛り上がっていくこと間違いなし。景気にも好影響を与え続けてくれるでしょう。

 オリンピック・パラリンピックは「スポーツの祭典」と呼ばれ、言うまでもなく、人の身体能力のすばらしさ、可能性を競い合う場。一方、肉体的な能力を競うものでは必ずしもないものの、最近盛り上がりつつあるのが「eスポーツ」です。

 「eスポーツ」、すなわち「エレクトロニック・スポーツ」はPCなどの電子機器を用いる各種競技ゲームで競い合うものです。走る、投げるといった全身運動ではありませんが、コントローラーを操作する指先の巧みさや集中力が要求されますね。

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eスポーツ界で常に先頭を走り続ける梅原大吾

 さて、今回は、eスポーツのうち、「ストリートファイター」に代表される対戦型格闘ゲームの世界で長年、トッププレーヤーの地位を維持しており、日本初の「プロゲーマー」として有名な梅原大吾氏の強さの秘密をお教えしつつ、キャリアや生き方の話につないでみたいと思います。


 ゲームに限らず、どんな世界でも圧倒的な努力が必要ですが、トップの座を維持し続けるために大事なことは「成長し続けること」だと梅原氏は述べています。

 

「神」と呼ばれるようになった梅原氏の代名詞と言える試合「背水の逆転劇」

 成長し続けるということは、言い換えると「変化し続けること」です。現状に安住しないで、もっとうまくできるためにはどうしたらいいか、日々工夫を怠らないことが大事なのだそうです。

 成長が止まると、いつしか「飽き」が来ます。すると勝利に対する執着も弱くなり、王座からあっという間に転落してしまうのです。11歳のころから格闘ゲームにどっぷりはまってきた梅原氏のように、トップレベルになると、ほとんど成長が感じられなくなります。成長の余地がほとんどなくなってしまうからですね。

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梅原氏が成長の踊り場で問うたのは「自分はどうしたいか」

 梅原氏もそんな成長の踊り場に直面し、いくら練習しても勝てない時期がありました。技術力が落ちたわけではなく、おそらく「飽き」からくるメンタルの力が低下したのでしょう。

 そこで、梅原氏はがむしゃらに練習することを止め、心を整えることを大切にしつつ、変化し、成長し続けるための工夫を重ねました。なかなか実感できない成長の手ごたえを感じられるよう、毎日メモをつけることも始めました。

 こうして、彼は再び勝ち続けることができるようになったのです。

 ところが、この数年、「なんか楽しくない」という思いがずっとあったのだそうです。相変わらず高い勝率を維持できていて、はた目からは順風満帆とみられていたにもかかわらずです。

 ある日、梅原氏は気づきました。「自分で決めていなかったな」ということに。

 「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロゲーマー」としてギネスにも登録され、著書も出し、社会的にも有名な存在となった。プロゲーマーとしてスポンサーを含む社会(周囲)の期待に応えるような振る舞いをしなければという気持ちが強くなりすぎていたのです。

 そこで、梅原氏はもちろん、周囲の期待に応えることを止めたわけではありませんが、同時に「自分はどうしたいか」を大切にすることにしたのです。

 おかげで今、梅原氏は日々楽しくてしかたがないとのこと。充実したプロゲーマー人生を送っています。

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あなたは成長し続け、自分で決めていますか?

 さて、梅原氏がeスポーツの世界を極める中で到達した「成長し続けること」「自分で決めること」という2つの気づきは、実はキャリアデザインにおいて最も重要なことそのものです。

 数あるキャリア本の中で私が一冊だけおすすめするとしたら、それは『仕事は楽しいかね』という本ですが、この本において示されている、私たちが持つべき唯一の目標は、

  「明日は今日と違う自分になる」

 というもの。

仕事は楽しいかね? (きこ書房)
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 まさに、梅原氏も実践している、日々変わり続け、成長し続けることが大事だということなのです。

 もう一つ、「自分で決める」ということは、人生そのものの命題でもあります。

  自分は何のために生きているのか?

 自分の人生を生きるためには、他人が期待することに従うのではなく、自分の素直な気持ち、心の奥底からの叫びに従う。自分の決めたことなら、結果がどうであれそこには後悔は生まれません。

  「明日は今日と違う自分になる」
  「人の人生を生きるな、自分の人生を生きよ」

 今年もがんばりましょう!

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松尾 順

株式会社ジゾン
コンサルティング準備室 室長

早稲田大学商学部卒。マーケティング・プロデューサー。
ニールセン・ジャパン、CRC総合研究所でマーケティングリサーチ、コンサルティングに従事した後、電通ワンダーマンで、データベース・マーケティングやCRMの企画・プロデュースを経験。さらに、ネットベンチャーの立ち上げにも執行役員として参画した。

現在は、心理学、行動経済学といった消費者心理・行動の理解に役立つ学問分野の研究を活用し、売れる商品づくり、効果的なコミュニケーション開発に取り組む様々な企業をマーケティングリサーチからマーケティング施策の企画・運営までトータルに支援している。

株式会社ジゾンでは、CMSシェアナンバーワンのソフトウェア「HeartCore」の導入に伴うマーケティングコンサルテーションを担当している。

【著書】
『ブランディング戦略―ブランディングの基礎と実践 (広告キャリアアップシリーズ) 』誠文堂新光社
『[実務入門] 営業はリサーチが9割! 売上倍増の“情報収集”完全マニュアル (実務入門)』日本能率協会マネジメントセンター
『先読みできる!情報力トレーニング (ビジマル)』TAC出版

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