Googleが医療・健康ページの評価改善 クリアすべき2つの課題

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 インターネット上には、未だに真偽不明で、時にその情報を鵜呑みにすると、かえって健康を害する情報が溢れています。これらの問題を重視した検索エンジンGoogleは、12月頭に医療・健康ページの評価方法を大幅に変更しました。ただし、評価方法の改善後にも、本当にユーザーのことを考えるなら、更に改善すべき2つの点が残っています。

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未だネットに氾濫し続ける偽りの健康情報

 12月もいよいよ大詰め。

 あと数日で「平成30年」になるという実感がなく、日々が過ぎていくこの頃です。

 本日の気になるトピックは、「Googleのページ評価改善と健康情報」についてご紹介です。

 農林水産省が2017年12月6日、「ビワの種子の粉末は食べないように」という注意喚起を行っています。本年度、ビワの種子を粉末にした食品から、天然の有害物質が高い濃度で検出され、製品が複数回収されています。

 しかし、例によってネット上では、未だ、レシピサイトや個人ブログに「ビワの種の杏仁豆腐」のレシピが紹介されていたり、まとめサイトではビワの種の「抗がん作用」をうたうもの、ビワの種の粉末のサプリを販売している通販サイト等が数多く見られる状況が続いています。

 厚生労働省の「食品衛生法改正に向けた懇談会」において、インターネット等に氾濫する不適切な情報について監視を行うことを求める提言がなされるのも、無理からぬことだと思います。

 参考リンク:「食品衛生法改正懇談会」の報告書を取りまとめました(厚生労働省 平成29年11月15日)

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Googleが医療・健康ページの評価を改善

 そんな中、Googleは12月に入って、日本語検索におけるページの評価方法のアップデートを公表しました。

 参考リンク:医療や健康に関連する検索結果の改善について(Googleウェブマスター向け公式ブログ 平成29年12月6日)

 この変更は、医療や健康に関する検索結果の改善を意図したもので、例えば医療従事者や専門家、医療機関等から提供されるような、より信頼性が高く有益な情報が上位に表示されやすくなっています。

 これは、DeNAが運営する医療情報サイト『WELQ』が不正確な医療情報を量産し、検索結果を独占していたことが問題視されたことを受けての、Googleの対応策といえます。

 この変更によって、情報の信頼性が疑問視されてきたメディアや記事の多くが、検索結果の上位から姿を消しています。

 薬機法違反が疑われる、健康食品などを扱うアフィリエイトサイトも例外ではありません。

 違法な表現、手段で顧客誘導するマーケティング(?)手法は、通用しなくなると言えます。

 とかく法規制ではタイムリーかつフレキシブルな対応が難しいところ、Googleさんが、ズバッとやってくれた!というところですね。

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よりよい検索エンジンを目指すためGoogle・情報配信者それぞれに課された2つの課題

 ただし、この改善による問題がない訳ではありません。Google・情報配信者には、以下のような課題が指摘されています。

1)信頼に足るサイトも順位が落ちている

 同じ病気を患っている人のブログや体験談、信頼に足ると考えられるサイトも、今回のGoogleによるアップデートで大きく検索順位を落としてしまいました。

 この部分の対策は、今後どうなるのか現時点では分かりません。

2)医療・健康分野における発信者側の情報が難解

 すでにネット上にある「信頼できる医療・健康に関するコンテンツ」は、専門用語が多く一般のネット利用者が検索で使う日常的な言葉ではヒットしにくくなっています。

 そのため、Googleは医療関係者に、専門用語を多用せず、わかりやすい言葉で情報発信をするように、対応を求めています。

 検索エンジンとして不適切な情報は排除できても、信頼できる情報が一般のネット利用者に見つけられ、理解されるためには、情報発信者側の協力が不可欠です。

 商品を販売する事業者も、信頼性の高い、わかりやすい情報提供を行う事業者こそが存在感を示していくことができると期待しています。

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久保 京子

株式会社 フィデス 代表取締役社長

広告表示のコンプライアンスや消費者視点の顧客サービスを重視した、ネット通販マーケティングのコンサルティング会社です。

景品表示法や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの広告法務や、顧客満足を高める顧客対応など、ネット通販の「守り」の部分をバックアップします。

広告表示規制が強化される中、違法表記は企業の信用やブランド価値の低下など、致命的な事業リスクになりかねません。
また、拡散力が飛躍的に高まったネット時代のカスタマー対応は、ダイレクトに売り上げとコストに影響を与えます。

カスタマー対応はもとより、広告の違反基準となるのは、サービスの受け手である一般消費者目線です。
常に消費者目線を意識することが、事業のリスクマネジメントの基本となります。

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取得資格
内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格 消費生活アドバイザー
※消費者と企業の懸け橋として、企業の消費者志向経営をサポート。
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