みかんが50年に1度の大不作 コタツでみかんの風景がこの冬消える

時事

 みかんの美味しい季節になってきた。「こたつでみかん」の風景がこれから多くの家庭で見られるはず…ところが今年、みかんの生産者や市場関係者は頭を悩ませている。年末から年明けにかけて需要が拡大するみかんの出荷量が思ったように増えず、これにつられて価格も高騰し始めているからだ。コタツでみかんの風景がこの冬消える可能性がある。

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需要拡大の季節を迎えたみかんの出荷量減に悩む関係者

 みかんの美味しい季節になってきた。

 みかんといえば、バナナに1人当たりの果物の消費量で1位の座を明け渡したものの、かつては圧倒的な1人当たり消費量で長年1位に君臨し、今なお2位の位置につける冬の果物の主役だ。

 手で簡単に皮が剥けて、そのまま食べることが出来ること、近年の健康志向や品種開発による食味向上PRの追い風もあり、近年では若年層への消費拡大が期待されている。

 ところが今年、みかんの生産者や市場関係者は頭を悩ませている。

 年末から年明けにかけて需要が拡大するみかんの出荷量が思ったように増えず、これにつられて価格も高騰し始めているからだ。
節約社長
日本農業新聞netアグリ市況

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みかんは50年に一度あるか無いかの不作。なぜ?

 「幾ら裏年となった時でも、こんなにオセロゲーム状態になったみかん畑は見たことがない。50年に一度あるか無いかの不作だ。」とは和歌山県で50年以上みかんを生産する農家の声だ。

 産地で一体何が起こっているのだろうか?疑問を紐解くには、昨年の秋まで遡る必要がある。

 昨年の10月から11月、日照不足と雨が全国的に続いたことで、みかんの産地では翌年の花が来る条件となる、土壌のC(炭水化物)N(窒素)比が極端に崩れていた。

 具体的にはCは太陽の光で光合成することで作られるものであるが、これが日照不足と雨により作られなかったため、芽から花への転換が進まなかった。

 おまけに、一次生理落果が起こる今年の5月後半に乾燥と高温が日本全体を襲ったのは記憶にあたらしいところ。

 ここで花芽が次々と落ち、おまけにもともと裏年であったことから、みかんの実が成らないことが春の時点で決定していたのである。

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年明け以降、多くの家庭からみかんが消える

 市場関係者にヒアリングしたところ、年内のみかんは辛うじて供給を続けられる予定だが、それでも例年と比較してその価格は2〜3割高が予想されていると言う。

 ただし、年明け以降にみかんの主力産地となる静岡県と和歌山県は、前年比で50%前後まで出荷量が落ちるのではないか?と予想されている。

 広島県も年明けに出荷する産地であり、今年は豊作のようだが、生産量は前述の2県と比べ3分の1以下であるため、大勢が変わることは考えにくい。

 コタツでみかんを食べる、日本ならではの食卓風景が、この冬、特に年明け、多くの家庭から消える可能性が非常に高い。

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