ヤマトの年末バイト時給2,000円から見える近い将来起こること

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 ヤマトの年末バイトの時給が一部の時間帯で2,000円まで上がったと報道されています。現場の深刻な人材不足を補うための施策となりますが、物流業界全体に、ヤマトの賃金UPは今後波及していくはずであり、物価も必然的に上昇せざるを得ません。消費が抑制され、おまけに消費税増税が重なれば景気悪化が予想され、企業はこれに備えて今から対応する必要があります。

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ヤマトの年末バイト時給で1時間2千円のケースも

 ヤマトの年末バイトの時給が一部の時間帯で2,000円まで上がったと報道され、SNSでは「いいな」「まだ安い」など、様々な反応が見られています。

 ヤマトは値上げをしていますが、大幅には仕事は減らないのかもしれません。

 そこで、私も会社に来るヤマトの配達員の方に現状をヒアリングしてみました。

 1名の意見ですので客観性は低いですが、仕事は正直楽にはなっていないが、待遇はよくなりました、ということです。

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物流が上がるということは物価も更に上がるということ

 もしも、この方がヤマトで働いている人の平均像であるとすれば、年末もこれまで以上にヤマトは忙しいシーズンを迎えるはずです

 アルバイトにも、それなり以上の待遇をして、人を確保するために動いているということでしょう。

 流通業、特にトラックを運転できるドライバーのパイは限られていますが、今回の報道もあり、多くの人材がヤマトに流れていくでしょう。

 大型路線便の運転手を含め、中小零細の配送会社も人件費を上げて、引き止め対応せざるを得ない状況となるはずです。

 長らく給料設定が低く抑えられてきた物流業界で人件費が上がる以上、モノの価格が今後上がっていくことは必然の理で、これを抑制するのは非常に難しいこと。

 小売業含め、この先は売価をあげて、コストを吸収していくしかなくなるはずです。当然、消費は抑制され景気も悪くなることでしょう。

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物価上昇と消費税増税のタイミングが合うと景気は相当悪化するか

 これら物価上昇を見越した企業は海外に市場を求め、一部は成功して剰余金を増やしてきました。

 その剰余金が余っているので、国内人員の給料を増やせというのは、多くの場合、まったく筋違いの論法になります。

 以前、ユニクロの柳井正社長が、企業のボーダレス化が進むと共に、「努力できない若者は年収200万となる時代がやってくる」という論調を展開しましたが、海外に収益源を分散している企業にすれば、これは正当な主張です。

 これらの状況をまとめると、人件費の増加にともない物価は今後上がらざるを得ないはずです。

 物価の上昇と消費税増税のタイミングが合ってしまえば、相当に景気が悪化する可能性もあります。

 当然、予想が当るばかりではありませんが、今の世の中の動きから将来をある程度読めるなら、それに対する準備を今から進める必要があるのではないでしょうか。

Photo credit: yto via VisualHunt.com / CC BY

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大原達朗

一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事・アルテパートナーズ株式会社代表取締役として、M&Aを手掛ける公認会計士です。

BBT大学、法政大学院イノベーションマネジメント科の教員も兼任しております。

大企業だけではなく中小企業にとっても、ユーザーフレンドリーな会計業界を、世界中に広めることが目標です。

M&Aの悩み(会社や事業を売りたい/会社や事業を買いたい/小規模M&A投資を検討している)があれば、お気軽にお問い合わせください。

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経営者のための実践ファイナンス

【現職】
一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会代表理事
アルテ監査法人代表社員
アルテパートナーズ株式会社代表取締役
日本マニュファクチャリングサービス株式会社監査役
法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師
ビジネス・ブレークスルー大学大学院准教授
ビジネス・ブレークスルー大学准教授
PT. SAKURA MITRA PERDANA Director

【職歴】
1998年10月 青山監査法人プライスウオーターハウス入所
2004年1月 大原公認会計士事務所開設
2004年6月 株式会社さくらや 監査役
2006年1月 株式会社ライトワークス リスクコンサルティング部ディレクター
2007年4月 ビジネス・ブレークスルー大学大学院講師
2008年4月 法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科兼任講師(現任)
2008年4月 アルテ公認会計士共同事務所開設 代表パートナー
2008年6月 日本マニュファクチャリングサービス株式会社 監査役(現任)
2009年4月 アルテパートナーズ株式会社設立 代表取締役(現任)
2010年7月 アルテ監査法人設立代表社員(現任)
2010年8月 日本M&Aアドバイザー協会 理事
2014年10月 日本M&Aアドバイザー協会 代表理事(現任)
2016年4月 ビジネス・ブレークスルー大学准教授(現任)

【所属団体】
日本公認会計士協会、一般財団法人日本M&Aアドバイザー協会(JMAA)、日本税理士会、日本CFO協会

【資格】
公認会計士、税理士、 JMAA認定M&Aアドバイザー (CMA)

【その他】
ビジネス・ブレークスルー大学大学院MBA/経営管理修士(専門職) 日本CFO協会主任研究員(2006年)

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