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大場保男
大場保男中小企業診断士

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大企業の管理職経験者ほど陥りやすい「組織病」から抜け出す3つの方法

大企業の管理職経験者ほど陥りやすい「組織病」から抜け出す3つの方法
 私達が兼ね備えている環境適応能力は、時として弊害を生むことがあります。ずっと慣れ親しんできた組織、たとえば大企業を辞めて起業する人の多くが上手くいかないのは、過去の環境適応で得たものを今も引きずる「組織病」になっているのが主な原因です。どうすれば、組織病から抜け出せるのか?3つの方法をご紹介します。

人間の環境適応能力は時として弊害を起こす

 人は同じ場所にずっといると、いつの間にかその環境に適応して身を上手くこなすようになっていきます。

 古来より人は社会的動物として生命をこれまでずっと子々孫々繋いできたため、環境適応能力が非常に高いのです。

 会社も1つのコミュニティです。会社勤めの多くの人にとって、自分の会社は社会人になった後は一番長い時間を過ごす場所ですから、その環境が当人に及ぼす影響は計り知れません。

 ただし、環境に適応するのは良しとしても、そこで1つの弊害が起こりやすくなります。

 自分が当たり前だと思っている勤務先の会社の常識と世間一般の常識にはズレがありますし、会社間によってもズレがあります。

 ところが、同じ会社にずっといると、その会社の常識が当たり前になって、他の環境にいる人をなかなか認められなくなったり、違う環境を肯定できなくなるのです。

 私は、10数年間務めていた化粧品会社からマーケティングの企画会社に転職した時に、上記の弊害を感じました。

 化粧品会社とマーケティングの企画会社とでは仕事内容が全然違います。

 また、化粧品会社は従業員数が千人規模、マーケティングの企画会社は数十人規模でした。

 仕事のやり方、考え方、価値観が違うため、最初のうちは随分戸惑いました。

大手企業の管理職経験者の多くが起業後にズレを修正できない

 とはいえ、転職による環境の違いへの適応くらいなら、まだ大したことではありません。会社から会社への転職の場合は戸惑っても、新しい会社の先輩が大抵はフォローしてくれますし、何よりも決まったお給料を会社が毎月支払ってくれます。

 しかし、起業した場合は誰もフォローしてくれませんし、世間の常識とズレていることに気が付かない場合もあります。

 気が付かないまま進むと、誰も決まったお給料などくれませんから、最後にはお金に困る事態にまで陥ってしまいます。

 私は中小企業診断士として多くの起業家と面談を重ねていますが、特にこの問題が起きやすいのは、大企業に勤めていた人が起業する場合です。

 起業を考えているのですから、大抵の方は独立心旺盛で、能力やこれまでの実績もある方です。

 でも、属していた組織が大きければ大きいほど、大抵の人が勤務していた会社の常識や価値観に知らず知らずに染まっています。

やっかいなのが管理職を経験してきた40代後半から50代の起業家

 特にこじらせやすいのが、40代後半から50代で大手企業を早期退職した人、なかでも管理職として肩書のあった起業家達です。

 時々見掛けるのが、会社をやめても、会社の時の肩書の意識のままで他人と接している人です。

 本人は意識しなくても、長い間管理職をやっていると知らず知らずに出てしまうようです。

 「◯菱商事ってご存知ですか?私、あそこでアメリカ支社の◯◯部の部長やってたんですよ。ですから…」とやってしまうのです。

 でも、その人の過去の看板など、今接している取引先にとっては、はっきり言ってどうでも良い無駄話、余談でしかありません。

 求められているのは成果であり、肩書ではないのです。

 こんなことをやっているのでは、人によっては、「こいつ、胡散臭いな。」とマイナスの印象を抱き遠ざかってしまうこともあるでしょう。

 起業した以上、私達は一旦これまでの話を全てリセットし、ゼロから始めねばなりません、

 今までいた会社の看板も肩書も全て捨て、「私」という一個人の信用で仕事をしなければなりません。

組織病はプライドを守るための自己防衛反応

 ところが、大手出身で管理職を経てきた人ほど、なかなかこれが出来ないようで、相手に対して上からかかってくる傾向があります。

 仕事がなかなか見つけられない人は、過去の下請け先に言って、これまでと同じような態度で仕事をもらおうとすることもあるようです。

 結果は…悔しい門前払いになってしまいます。激しくプライドが傷つけられ、落胆します。

 今までは対等以上に接することが出来た相手に、自分より上位の立場から話されたりすると、「俺は今まで大きな会社の管理職だったんだぞ」という心理になってしまうんですね。

 これが典型的な「組織病」というヤツです。やっかいなのは、組織病にかかっている起業家のほとんどは、自分が組織病の患者であることに対して無自覚だということです。

 会社時代の肩書の意識や態度がついつい出てしまうのは、自己防衛の意識が働くからです。

 他人にバカにされないよう、無意識のうちに過去の肩書を支えにしようという心理状態が組織病を助長します。

「組織病」から抜け出すのに肝要な3つの方法

 では、組織病から抜け出すのは不可能なのでしょうか?

 私がこれまで関わってきた起業家の例からいくと、組織病から抜け出すことは可能です。

 やり方は3つあります。

 1つめは、今までとは違う世界の人たちと一人でも多く自分から接することを心がけ、わからないことは率直に聞きながら、自学自習の姿勢で事業を展開することです。

 どうしても人はキャリアを積んできた仕事を選び、過去のつながりでお金を稼ぎたがるものですが、現実にはこのパターンだと下請けに成り下がることがほとんど。

 自らが積極的に新たな可能性ある分野を学んで探し、それを少しずつ事業として実行に移していきましょう。

 その中で、自分と違う経験をしてきた能力ある人と出会えるはずです。年令や性別に関係なくわからないことは、積極的に「教えて欲しい」と伝え、自分からアプローチしてください。

 2つ目の組織病から抜け出す方法は、己の組織病を認識し、修正するために事業計画を作成することです。

 無意識のうちに組織病にかかった人が作る事業計画書は、今までの会社の常識が色濃く反映されたものとなりやすいもの。

 一度作った事業計画を絶対視しないで、多くの人の意見、できれば苦労してきた経営者の意見を聞いて、柔軟に修正してみましょう。

 ズタボロに言われるかもしれませんが、ここで修正すべきことを指摘してもらえたならラッキーです。本当にお金が無くなってボロ雑巾のようになることを考えれば、全くもって幸せな話です。

 3つ目、最後に組織病から抜け出す対策方法は、自信を持つことです。

 ただし自信を持つのは、これまでのキャリアに対してではありません。

 過去は過去、今は今と、早く割り切りましょう。不確実な未来に一歩足を踏み入れた自分に対して、これから自分がやることに対して、「お前はやれる」と根拠が無くとも自信を持つのです。

 ただし、謙虚さを忘れないように…。

 私からお伝えできる組織病対策は以上です。

2017年11月6日

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