【前月の営業成績】敏腕営業マネージャーが必ずチェックする3つのポイント

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 優秀な営業管理者は、前月の結果から次のアクションに向けて、部下に適切かつ具体的な指示を出すことができます。彼らは、前月の営業成績が出た時に、時系列に対応した3つのポイントを必ずチェックし、その数値に基づき次の方針を決めます。また、自社の売上目標についても、月次で現実的な数値を定め成果を出します。その手法をご紹介します。

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優秀な営業管理者は前月の結果から次のアクションに向け具体的な指示を出す

 営業管理者の役割は、結果集計・結果分析ではなく、部下が結果が出せるよう具体的な指示を出すことです。

 その為のマネジメント手法として、「先行情報管理」の運用の仕方をお伝えしています。

 参考リンク:「気合」に頼らず「部下育成と部下支援」を行い成果を出す営業管理者のやっていること

https://setsuyaku.ceo/post/2665

 先行情報から様々な指示・指導をしたとしても、締日を迎えた後に単月のみの結果を集計しただけでは、問題点も傾向も見出すことが出来ません。

 では、出た結果についてどんなポイントをチェックすれば、次の行動に向けた具体的な指示を出せるのでしょうか?

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前月の営業成績が出たら営業管理者が必ずチェックすべき3つのポイント

 結果集計後に、次の行動に向けた具体的な指示を出すためには、以下3つのポイントをチェックする必要があります。

  • 1)今月の単月結果と単月目標を比較した達成率⇒単月の達成率把握
  • 2)期初来の結果累計と期初来の目標累計を比較した達成率⇒年次の進捗率把握
  • 3)今月の単月結果と前年の同月結果を比較した伸び率⇒前年比の成長率把握

 なぜ、この3つをチェックすべきかというと、1)で現時点の問題点が明らかになると同時に、2)から予想される傾向をいち早くとらえることが出来るようになるからです。

 また、3)の前年同月との比較からは、特需などによる増減要因を明らかにすることが可能になります。

 1)〜3)までを、売上結果だけではなく、粗利額、粗利率、変動費、固定費、営業利益に至るまで、同じ考え方で一覧明示できる資料にします。

 一覧明示すると、売上順調、粗利下降などといった傾向をいち早くキャッチでき、対処指示をスピーディーに出すことが可能になります。

 たとえばある月の売上について、以下のような数字が出たとしましょう。

  • 1)先月の売上5千万円:単月目標4.5千万円⇒単月の達成率90%
  • 2)期初来の結果累計5.0億円:期初来の目標累計4.8億円⇒年次累計の達成率104%
  • 3)先月の売上4.5千万円:前年の同月売上4千万円⇒前年比の成長率113%

 これを分析すると、

  • 単月の達成率⇒目標未達
  • 年次累計の達成⇒達成
  • 前年比の成長⇒前年比で売上増

 という結果が見えてきます。

 そうすると営業管理者は、「前年比では成長しているが単月目標のハードルが高すぎた。しかし、年次の累計は順調なので年次目標は、このままいけば達成できそう。このペースで急かすことなく、部下に営業してもらうよう指示する」という方針を決めることができます。

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月あたりの目標売上額は労働生産性によって変わる

 そして、もう一つ重要なのが、労働生産性データのチェックです。

 労働生産性とは一人当たりの粗利額のこと、これは月次管理をしていくうえで非常に重要指標となります。

 目標を設定する際には、この労働生産性から作り込みを行う必要があるからです。

 年次・月次の目標売上額は次の算式で算出できます。

  • 目標労働生産性×計画人員数÷目標粗利率=目標売上額

 目標労働生産性×計画人員数で必要粗利額が算出されます。それを目標とする粗利率で割り込みますから、目標売上額が算出されます。

 人員が増えれば当然のことながら、売上目標が上がって当たり前です。

 目標粗利率を低く設定すれば、必要な粗利額を達成するために目標売上額は上がります。これらの考え方をあらわしたものがこの算式です。

 ここで注視すべきはこの算式のキーとなる目標労働生産性です。

 実は、月次管理資料の中にもこの労働生産性の結果を表示することが重要です。

 労働生産性を見ることで、粗利額が多いのか少ないのか、過剰な人員がいる可能性や、人員が不足している可能性も推察できます。

 業種、業界にもよりますが、一般的に最低でも労働生産性は1千万円/年〜1.2千万円/年は必要と思ってください。

 たとえば、人員が4名の会社で、粗利率が10%、目標労働生産性が1000万円/年の会社なら、

  • 目標労働生産性1000万円×計画人員数4名÷目標粗利率10%=目標売上額:4億円/年

 となりますね。

 目標労働生産性が1200万円/年に上方修正したとしたら、

  • 目標労働生産性1200万円×計画人員数4名÷目標粗利率10%=目標売上額:4.8億円/年

 となり、目標売上額も8000万円/年上乗せされることになります。

 中小企業で安定した黒字経営なら更に1.5千万円/年、高収益体質の企業なら2千万円/年を目標労働生産性とすべきでしょう。

 この数字をキープできていれば、営業利益を堅実に確保できます。

 この労働生産性も1)単月、2)累計、3)前年同月比較でみるのは同じです。

 月次管理資料では、以上のようなチェックポイントに着目し一覧を作成すれば、一枚で全てが把握できるようになります。

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着実に売上を上げる営業変革!

岩月 康隆
・有限会社アクチャーコンサルティング 代表取締役
・『M-One戦略』コンサルタント
・1964年生まれ。甲南大学理学部卒

これまで250社以上において増収・増益を実現してきた営業コンサルタント。

「組織営業の仕掛け人」と称され、
  ・惰性営業から脱却したい経営者
  ・新規開拓ができない営業に頭を悩ます営業幹部
  ・売り上げ低迷、属人的営業から脱却したいBtoBビジネスをしている企業
に対して売上・シェア拡大の手法と組織(会社)に営業力を宿す指導を行っている。

●会社に「営業力」があるか?
 一部の「できる営業」によって売上が左右されるようでは、本当の営業力ではない。
●『“組織”として「営業力」をつけない限り、それを営業力とは言わない』
という一貫した考えを持っている。

学卒後、百貨店本部での営業政策部門を経て、デベロッパーに転職。
その転職先でトップ営業マンが次々と退職するたびに、会社の業績が大きく左右される様を見て、「できる営業」に依存しない「組織営業の仕組み」が必要であることを痛感し、安定経営を実現する『組織営業』の仕組みを構築させたいという強い思いから、27歳の時に独立。 有限会社アクチャーコンサルティングを1992年設立した。
その後、独自に開発した『M-One戦略』理論を確立。この理論体系を用いて、『組織営業』導入コンサルティングを主軸に実践指導を行っている。
この理論と実務・実践を併せ持った指導により、競合他社が前年実績を下回る中で、数多くの指導先が売上を伸ばしており、更に結果を出し続けている。
これが大手コンサルティング会社が、わずか半年で撤退したといわれる大阪という厳しい市場で、1992年以来二十数年にわたって指導実績を重ねている所以である。関東方面からのコンサル依頼も多く、現在では東京にも活動拠点を置いている。

これらの実績から、大手銀行のシンクタンクからも講師の依頼が相次ぎ、2005年から全国でセミナー講師を務めており、 新任営業の基礎・基本教育から営業部・課長の営業マネジメント手法まで、営業指導を得意とし、戦略から戦術、戦闘に落とし込むプロセス構築と実行の仕組みを提供し続けている。
セミナー受講者によるアンケートの結果でも、100%の方が『役に立つ』と答えた《充実度NO.1講師》との評価を得ている。

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