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賃貸していた自宅へ出戻る際に自宅の借り主へ支払う立退料は経費となるか?

賃貸していた自宅へ出戻る際に自宅の借り主へ支払う立退料は経費となるか?
 何らかの理由で所有する自宅を他人へ貸していたが、自分が自宅に出戻ることになったため、現在の借り主に対して立ち退き料を支払うことはよくあります。これまで賃貸により不動産所得を得ていたわけですから、今回発生する立ち退き料も不動産所得を得るための経費として認められるのでしょうか?考えてみましょう。

マイホームを賃貸してたけど再度住むことに。借り主へ支払う立ち退き料は必要経費?

 自宅を手に入れた後に何らかの理由があって、一旦出なければならないことがあります。

 親の介護のため親の家に同居する、海外赴任でしばらく日本を出る、転勤する、といった理由です。

 この際、手に入れた自宅が遊んでしまいますから、ローンを払っていく上でも、誰かに賃貸するケースがあります。

 ただし、親の介護が済んだ、海外赴任から戻ることになった、転勤から戻ってきた、という場合には、自分の家に帰りたいと考えるのは当然の話。

 また、何個か家を持っていた経営者が抵当にしていた物件を売却せざるを得なくなり、豪邸から残り1つとなった家に住まざるを得ない場合もあるかもしれません。

 自宅へ出戻りする場合、賃貸している相手方に家から立ち退いてもらう必要があります。

 当然、引っ越したくない人に引っ越してもらうわけですから、家賃の6ヶ月分程度を立ち退き料として大家側が支払うことになります。

 これまで賃貸により不動産所得を得ていたわけですから、今回発生する立ち退き料も不動産所得を得るための経費として認められるのでしょうか?

立ち退き料が不動産所得を得るために必要な経費か否かが問題点

 結論から言うと、自宅を賃貸しており、自分達が住むために物件の借り主へ立ち退き料を支払う場合、この費用は経費として認められません。

 なぜなら、所得税法第37条は以下のような定めを設けているからです。

その年分の不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価、その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額とする。(一部抜粋)

 立ち退き料を費用とするためには、その費用が、「総収入金額を得るため直接に要した費用」と認められる必要があります。
 しかし、自分達が住むために、物件の借り主へ立ち退き料を支払うのであれば、その費用に対応する収益がありません。

 従って、費用に「直接性」が認められないため損金算入が認められないのです。

 先述の通り、親の介護のため親の家に同居する、海外赴任でしばらく日本を出る、転勤する、といった理由で、ローンの支払費用を充当するため、他人に家を貸す人はかなり多くいます。

 後に自分がマイホームへ帰りたい時に、立ち退き料に経費性が認められないため渋い金額しか提示せず、物件の借り主と裁判の争いを起こしてしまったというケースは後を絶ちません。

 家を貸す際の前提条件をきっちり決める、融通の効く人物に絞って貸す、などの対策を事前に立てなければ、マイホームの賃貸はトラブルの温床となってしまうのです。

収益を得るために支払う立ち退き料は必要経費

 なお、余談になりますが、
  • 賃貸している建物やその敷地を譲渡するために支払う立退料
  • 土地、建物等を取得する際に、その土地、建物等を使用していた者に支払う立退料
  • 敷地のみを賃貸し、建物の所有者が借地人である場合に、借地人に立ち退いてもらうための立退料
 これらの立ち退き料は、収益を得るために建物の借り主や借地人に支払うものであるため、経費として認められることになります。

 立ち退き料を受け取った側は、
  • 資産が消滅した対価補償としての性格がある場合⇒譲渡所得
  • 収入金額又は必要経費の補填としての性格がある場合⇒事業所得等
 として処理しなければなりません。

 以上、立ち退き料について解説いたしました。

2017年8月3日

マイホーム 自宅 賃貸 事業所得 所得税法 不動産所得 譲渡所得 立ち退き料

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