従業員や役員への貸付金が給与課税されるか否かは特例基準割合◯%で変わる

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 従業員や役員にとって、自分の現時点での資力ではどうにもできない、突発的なトラブルが生じたときに、彼らが信頼できる人間ならば、経営者が会社を通じて、低い金利で金銭の貸付を許可することがあるでしょう。この際に、従業員や役員へ支払う貸付金は課税の対象となるのでしょうか?実は課税されるか否かは一定の利率で判断が変わります。

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従業員や役員への貸付金は給与課税の対象か?

 従業員や役員から、お金の借り入れを依頼されたことはありますか?

 従業員や役員にとって、自分の現時点での資力ではどうにもできない、突発的なトラブルが生じたときに、彼らが信頼できる人間ならば、経営者が会社を通じて、低い金利で金銭の貸付を許可することがあるでしょう。

 会社によっては、「従業員貸付制度」を設けて、一種の福利厚生も兼ねた形で一定枠内の貸付を行っている会社もあります。

 この際に、従業員や役員へ支払う貸付金は課税の対象となるのでしょうか?

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貸付金を給与とみなされ課税されない利率は?

 役員又は使用人に低い利息で金銭を貸し付けた場合、平成26年以後の貸付けについては、その利率が貸付けを行った日の属する年の特例基準割合による利率以上であれば、原則として給与とみなされ課税されません。

 ちなみに、平成27年以後の特例基準割合による利率は1.8%です。

 もしも1.8%に満たない利率で役員や従業員に貸付けを行った場合は、次の1)〜(3)のいずれかに該当する場合を除き、1.8%の利率と貸し付けている利率との差額が、給与として課税されることになります。

  • 1)災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となり、合理的と認められる金額や返済期間で金銭を貸し付ける場合
  • 2)会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員又は使用人に対して金銭を貸し付ける場合
  • 1.8%の利率と貸し付けている利率との差額分の利息金額が1年間で5,000円以下である場合
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特例基準割合による利率1.8%を覚えておこう

 このように、社員や役員へ善意で貸し付けを行う場合であっても、特例基準割合による利率1.8%未満か1.8%以上かで、貸付金に課税されるか否かは原則として変わります。

 この原則論をあまり考えずに役員や従業員へ貸付をすると、後々の税務調査などで、彼らに給与として課税された分を請求しなければならなくなります。

 あまり、お互いに良い気分とはなりませんし、手間もムダにかかってしまいます。

 社員への貸し付けを検討されている際は、ぜひこれらの事項を踏まえて判断を行いたいものです。

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