“マネーの虎”虎達が続々と倒産した理由〜カリスマ経営・最大の弱点とは

経営

 今から13〜4年前、起業家予備軍に対して、虎と呼ばれる経営者が出資するか否かを決めるテレビ番組である、マネーの虎が人気を集めていました。ところが、時は経ち現在、カリスマとして名声をはせていた虎の多くが倒産廃業を迎えています。なぜ、その経営手腕で賞賛を浴びていた虎達は失敗の憂き目を見ることになったのか?カリスマ経営最大の弱点について島倉さんが解説します。

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2000年代の人気番組といえば「マネーの虎」

 今から13〜4年前の話でしょうか。マネーの虎というテレビ番組が随分と流行っていたことがあります。

 「虎」と呼ばれる、それなりに成功している社長が出資者という立場で、これからビジネスを立ち上げようとしている人間に出資するか否かを決める番組でした。

 吉田栄作さんが司会をされていて、過激な発言を虎達が繰り返して、わざとらしいんですけれど、その派手な演出がかなり話題を呼んだので、覚えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

 見ていらっしゃらない人は、YouTubeで「マネーの虎」って調べたら動画が出てきますので、ぜひ見てみることをお勧めします。

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マネーの虎で虎と呼ばれた社長が倒産している

 時は経ち、現在、マネーの虎に出演していた社長の多くが倒産に追い込まれていたり、その当時やっていた仕事が上手く行かなくって、一度廃業したりという状態になっています。

 ある人は億単位の借金抱えて失踪したり、中には自己破産した人もいます。

 あの当時、「こんなんじゃダメだ〜っ!」「そんなん失敗するよ。」とか、エンジェルとして起業家予備軍に厳しい指摘をしていた当人達が、なぜそんな状態になってしまったのでしょうか?

 実は、マネーの虎に出ていた虎のうち、失敗した社長には「ある共通した特徴」が1つ存在します。

 それは、「最前線、現場に立ち続けていた」という特徴です。

 彼らも最初は虎じゃなくて猫状態からの起業となるわけですが、やがてビジネスが立ち上がり世間から“カリスマ社長”として注目されるようになっていきました。

 ここまでは良いのですが、カリスマ経営の問題は、マネーの虎に出ていた時から、更に後であらわになります。

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カリスマの最大の弱点は組織拡大時に現れる

 会社を立ち上げた黎明期に必要なのは、あくまでも個人力、カリスマ的な社長力です。

 自分一人が広告塔となって、ガンガン商品を販売して、社長が一番の営業マンという状態で、ある程度のところまで会社を軌道に乗せます。

 ある程度、会社が軌道に乗って、そこそこ有名な状態でテレビに出ていたのが、あの虎達です。

 さて、順調に事業が推移していくと、やがて1つのターニングポイントが訪れます。

 それは、社長1人のカリスマ経営から、組織経営に移行しなければならない時期のことです。

 組織経営に移る時は自分が現場から引いて、各ポジション、人事・総務・営業・開発など、それぞれの分野で自分よりも優秀なマネージャーを置いて、彼らにあらゆる意思決定を行ってよい環境を作らねばなりません。

 ところが、カリスマですし、これまでのお客様も自分を贔屓(ひいき)に商品を購入してくれる人が多いものですから、どうしても現場を離れられないんですね。

 だけども、人は増えていくし、外部に対してはそれなりの成長を見せなければならない。

 こうなると、社内がうまく機能しなくなっていき、投資もするんですがムダな投資が増え、時間差で数字(売り上げ)が徐々に落ちてしまうんです。

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ターニングポイントでは自分より優秀な人間に後を託し一歩退く

 会社が成長していくステージに併せて、社長が追うべき役割は段々と変化していきます。

 最初は営業のような売り上げに直結する仕事が一番なのです。

 しかし、軌道に乗って組織が出来た後は、組織が回る仕組みを作るために、優秀な人材を組織に招き入れることが、一番大きな仕事となるのです。

 そのときには、自分が現場にあれこれ口を出す立場から、一歩引いて目立たない場所に立たなければなりません。

 ところが、どうしてもカリスマと呼ばれる人は、今までのやり方を踏襲した組織拡大方法に固執したり、自分より優秀な人を見つけて、その人に託すことができません。

 腕っ節1つで会社を成長させられるのは、ある程度のところまでです。

 会社がある程度のところまで成長したなら、自分が身を引いて、優秀な組織、これをマネジメント出来る人を中に招き入れる準備を始めましょう。

 
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島倉大輔

有名人気企業の取締役、国立研究所の研究者の地位を捨て、失意のアルバイト生活から這い上がってきた壮絶な逆転人生。「人生、何度でもやり直せる!」を信条に、コンサルティングを開始。全国延べ1,700社以上の会社や個人を支援し、各業界で勝ち組企業や成功者を生み出してきた。現在、全国の経営者や起業家を支援するために、日々コンサルティングに奔走している。「行動すれば人生は変わる」が信条。また、トレーダーとしても活躍。資産1億円超えのトレーダーを7名輩出した実績を持つ。

朝日放送『雨上がりのAさんの話』、テレビ朝日『お願い!ランキング』『やじうまテレビ!』等に出演。日経ビジネス、FLASH、アントレ、フジサンケイビジネスアイ、近代中小企業など、メディア掲載も多数。また、全国の商工会や青年会議所、金融機関などで講演も行っている。著書に『大手とケンカしても負けない、経営逆転のヒントあります。』がある。

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