スギ薬局の社告に学ぶ〜やってしまった不当広告の謝罪告知を行うタイミング

節約

 私達は、時としてお客様に過度な期待を抱かせる不当な表示を行ってしまうことがあります。スギ薬局も直近、不当な広告表現を行いましたが、自ら問題を公表し謝罪告知を発表しました。少しでも広告に問題があると認識したのであれば、単に広告物を見直すだけでなく、その内容を一般消費者に周知するという対応も真摯な消費者対応として評価されることでしょう。

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スギ薬局が自らの不当広告について謝罪告知

 今回は、「不当広告と謝罪告知のタイミング」について考えてみたいと思います。

 5月31日に、スギ薬局が販売している機能性表示食品「葛の花シリーズ」について不当な広告表現を行っていたとして、同社が全国紙での社告や自社のホームページ上で謝罪文を掲載しました。

 同社は問題となった商品を、自社開発商品として全国のスギ薬局店舗で、平成28年9月5日から発売していました。

 謝罪文によると、「葛の花由来イソフラボンには「お腹の脂肪を減らすことを助ける」機能があるとの機能性表示食品でありながら、本商品を摂取さえすれば、どんな条件下でも誰もが容易に痩身効果を得られる」と、機能性表示食品の機能性について届出内容を超える表示を行い、消費者に過度な期待を抱かせる内容だったとしています。

 なお、返品返金対応については触れられていません。

 参考リンク:当社販売の機能性表示食品の表示に関するお知らせ (株式会社スギ薬局  2017年5月31日)

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スピーディな問題告知と謝罪対応は行政にも好感される

 さて、今回のスギ薬局による謝罪告知の注目ポイントは、これが景表法措置命令などの行政処分によるものではなく、自主的な判断で行われたであろうことです。

 そのため、どのような経緯で謝罪に至ったのか、問題となった広告表現が具体的にどのような内容のものであったのか等については、同社が公表した以上の情報は示されておらず、確認することができません。

 ただ、行政機関から指摘を受けての対処であれば、措置命令や課徴金を受けるリスク回避ともいえます。

 仮に、措置命令に発展し、課徴金が課されるとなった場合、社告掲載が誤認解消措置とみなされれば、課徴金対象期間を短縮させることができます。

 直近の似たような事例でいうと、日本サプリメント、佐藤園と大正製薬のトクホの関与成分が規定値に満たなかった問題では、許可取消し処分の判断を分けた基準の一つとなったのが、事業者が事態を認識してからの対応スピードでした。

 岡村消費者庁長官も5月24日の記者会見で、「事態を認識してからのスピード」が行政措置を行うか否かで、1つの判断基準になると言及しています。※

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問題を認識したなら早期に周知することが最良の策

 このような行政と事業者の駆け引きといった側面も否めませんが、少しでも問題があると認識したのであれば、単に広告物を見直すだけでなく、その内容を一般消費者に周知するという対応も真摯な消費者対応として大きく評価されることでしょう。

大切なことは、違反となるかならないかを争うことではなく、如何にお客様に信頼される情報提供を行うかにあると思います。

※岡村消費者庁長官記者会見要旨:消費者庁
http://www.caa.go.jp/action/kaiken/c/170524c_kaiken.html

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久保 京子

株式会社 フィデス 代表取締役社長

広告表示のコンプライアンスや消費者視点の顧客サービスを重視した、ネット通販マーケティングのコンサルティング会社です。

景品表示法や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの広告法務や、顧客満足を高める顧客対応など、ネット通販の「守り」の部分をバックアップします。

広告表示規制が強化される中、違法表記は企業の信用やブランド価値の低下など、致命的な事業リスクになりかねません。
また、拡散力が飛躍的に高まったネット時代のカスタマー対応は、ダイレクトに売り上げとコストに影響を与えます。

カスタマー対応はもとより、広告の違反基準となるのは、サービスの受け手である一般消費者目線です。
常に消費者目線を意識することが、事業のリスクマネジメントの基本となります。

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取得資格
内閣総理大臣及び経済産業大臣事業認定資格 消費生活アドバイザー
※消費者と企業の懸け橋として、企業の消費者志向経営をサポート。
 消費者庁の法執行専門職員(景表法やJAS法などの違反被疑事案の調査補助を行なう)や、
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