再配達が引き起こす負の影響は人手に換算して◯◯人分の労働力に匹敵!

時事

 宅配業者の再配達による環境や労働力に対する負の影響に、世間の注目が集まっています。国土交通省が発表した試算結果によると、再配達によるCO2排出量はスギの木で約1億7400万本、1年間の不在配達に費やされている労働時間は、約1.8億時間にのぼることがわかっています。8時間労働で年間250日勤務に換算すると、9万人の人員規模でムダが起こっていることがわかります。

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宅配業者の再配達が生み出す負の影響は膨大

 宅配業者の再配達による環境や労働力に対する負の影響に、世間の注目が集まっています。

 実はこの問題が今のように表面化する2年前に、国土交通省は再配達の発生が引き起こす負の影響について、試算結果を発表しています。

 参考リンク:宅配の再配達の発生による社会的損失の試算について(国土交通省 平成27年8月25日)

 この試算によると、再配達によるCO2排出量は、スギの木で約1億7400万本(面積では山手線の内側2.5個分と同じ広さのスギ林)の年間CO2吸収量に相当すること、1年間の不在配達に費やされている労働時間は、約1.8億時間にのぼることがわかりました。

 この数字のインパクトを見るだけでも、再配達により大きなムダが発生していることがご理解いただけることでしょう。

 そこで今回は、「宅配の再配達の発生による社会的損失」について、その詳細を具体的に突っ込んでご紹介したいと思います。

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再配達が引き起こす負の影響〜労働力に換算すると9万人の人員規模

宅配便配達の走行距離の25%は再配達に費やされている

 環境省が2014~2015年に実施した「平成26年度低炭素地域づくり集中支援モデル事業」調査(委託事業者は佐川急便)を基にした計算によると、調査期間・調査対象エリアの1日の持出個数に占める不在再配達個数で割り出した不在率は、23.5%に及ぶことが判明しました。※

 また、全走行距離に占める不在配達分の走行距離の割合は、25%にも及ぶことがわかっています。宅配便の配送車が10km車を走らせているうち、2.5kmは収益にならない不在配達に費やされています。

訪問回数ベースの不在率は19.1%

 また、国交省が2014年12月に実施した調査データから、配達時に不在となる回数に着目して再分析を実施したところ、全訪問回数に対する不在訪問回数で割り出した不在率は19.1%となりました。

 訪問1回目における配完率は80.4%でした。(不在率19.6%)

再配達によるCO2排出量は、スギの木で約1億7400万本の年間CO2吸収量

 環境省調査と国交省調査が同程度の数値であることが確認されたことから、両調査結果を使い再配達の影響度を算出したところ、再配達による走行距離の伸長率から算出したCO2排出量の増加は、年間418,271 tに及ぶことが判明しました。

再配達に費やされる労働力は9万人分の労働力に匹敵

 また、配達回数の増分から算出した再配達に費やされている労働時間は、年間約1.8億時間になり、1日の平均労働時間を8時間、年間労働日数を250日と設定した場合、9万人に相当する労働力となることもわかっています。

 再配達がどれだけムダか、具体的な労働力の規模で考えると、容易に想像が付きますよね。

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再配達を無くすには消費者や利用企業の協力が不可欠

 上記のように、具体的な数値で再配達が生み出すムダを見ていけば、如何に再配達がムダな業務であるか理解できますね。

 再配達削減のためには、回避可能な再配達を回避すべく、消費者や宅配業者を利用する企業の理解と協力が不可欠です。

 国土交通省では「宅配の再配達の発生による社会的損失の試算」を公表し、広く消費者に知ってもらうことで、消費者の受取という「物流への積極的参加」促進につなげたいとしています。

※実施期間:福岡県福岡市内:2014年11月1日~30日、東京都江東区内:2015年1月19日~1月31日

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久保 京子

株式会社 フィデス 代表取締役社長

広告表示のコンプライアンスや消費者視点の顧客サービスを重視した、ネット通販マーケティングのコンサルティング会社です。

景品表示法や医薬品医療機器等法(旧薬事法)などの広告法務や、顧客満足を高める顧客対応など、ネット通販の「守り」の部分をバックアップします。

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