3月期末の企業が申告前に確認すべき5つの税制改正チェックポイント

節税

 総務省の発表する経済センサスによると、国内企業の5社に1社(19.6%:平成24年)は3月を決算期末としており、5月末に法人税・消費税の申告期限を迎えます。申告前の決算締めで間違えが起こりやすいケースの1つに、税制改正を反映しない処理があげられます。そこで本稿は、この3月期に期末を迎えた企業に適用される、平成28年度税制改正の改正事項の中から主なポイントを再確認します。

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3月期末の企業は5月が申告期限で大慌て!

 総務省の発表する経済センサスによると、国内企業の5社に1社(19.6%:平成24年)は3月を決算期末としています。

 3月期を決算期末とする企業は、5月末に法人税・消費税の申告期限を迎えます。

 従って、ちょうどこの時期に決算申告業務を進めておられる会社の方々も多いでしょう。

 そこで本稿は、この3月期に期末を迎えた企業に適用される、平成28年度税制改正の改正事項の中から主なポイントを再確認します。

 新制度の適用等について遺漏がないよう、最終チェックにお役立ていただければ幸甚です。

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平成28年度税制改正でチェックすべき5つのポイント

チェックポイント1:法人税率の引き下げ

 平成28年4月1日~同30年3月31日までに開始する各事業年度の法人税が、23.9%から23.2%に引き下げられています。

 なお、中小法人、一般社団法人等、公益法人等は、年8百万円以下の所得の場合、15%(本則19%)の軽減税率を適用可能です。

チェックポイント2:限度額の段階的引下げ

 従来、繰越欠損金控除は、100%控除可能でしたが、

  • ・平成28年4月1日~同29年3月31日迄に開始する事業年度:60%
  • ・平成29年4月1日~同30年3月31日迄に開始する事業年度:55%
  • ・平成30年4月1日以後に開始する事業年度:50%

 と、段階的に引き下げられていきます。

 なお、欠損金の繰越期間は9年から10年と長くなります。

 ただし、中小法人等は従前どおり100%控除可能です。

チェックポイント3:建物附属設備・構築物に係る減価償却制度

 平成28年4月1日以後取得する建物附属設備及び構築物の償却方法については、定率法が廃止され、定額法のみが適用されることになります。

 また、平成28年4月1日以後建物附属設備及び構築物に対して行われた資本的支出についても、原則的に定額法が適用されます。

 平成19年3月31日以前取得の建物附属設備・構築物への資本的支出については、平成28年4月1日以後行われたものでも、既存資産の取得価額に加算して、一体として償却が可能です。

チェックポイント4:中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例の延長

 中小企業者等については、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)の取得(含製作、建設)、かつ、事業供用した場合、当該事業年度で取得価額全額を損金算入可能です。

 上記の制度については、適用期限が2年延長されました。(平成30年3月31日迄に取得、事業供用)

 中小企業者等、常時使用従業員数1,000人以下の法人は、この制度を適用することが可能です。

チェックポイント5:その他

 その他、外国子会社配当益金不算入制度、グリーン投資減税、雇用促進税制等々にも改正がありますので、留意が必要です。

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決算処理の間違えは法改正の確認ミスから生じやすい

 決算処理での間違えはよくある話ですが、その主な理由の1つが法改正を決算に反映していないことです。

 前期決算を一度締めると、それ以降の修正は出来ないため、今期の決算で再度帳尻を合わせる必要が生じます。

 余計な手間を掛けないために、ぜひチェックしてくださいね。

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株式会社C Cubeコンサルティング

株式会社C Cubeコンサルティング/税理士法人C Cube
代表取締役/代表税理士 清水 努
昭和41年(1966年)10月28日生まれ(ひのえうま)

C Cube(シーキューブ)は銀座に創業20年の実績を持つ経営コンサルティングが強みの
会計事務所グループです。
『惚れられるサービスを心がける』を経営理念・社長信念とし、企業の経営者にとって
良き参謀役であるために、社長自らが行動し全力で伴走中。

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