お弁当市場への新規参入に成功した塚田農場が狙ったのは企業の◯◯費

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塚田農場がお弁当市場で絶好調。なぜお弁当?

 居酒屋の塚田農場ブランドで有名なAPカンパニーが、お弁当業態で売上を伸ばしていることがニュースで話題となっています。

 居酒屋「塚田農場」(エー・ピーカンパニー)の弁当が売れている――。

(中略)

弁当事業がスタートしたのは2014年7月。当初はMR(Medical Representative)と呼ばれる製薬会社の営業マンをターゲットとし、市場を切り開いた。

 製薬会社では医師たちに向けた製品説明会や講演会の際にお弁当を利用することがある。その際の弁当はコンビニ弁当や駅弁と違って高級品であり、2000円程度の価格帯が好まれるという。

居酒屋「塚田農場」の“弁当”が絶好調の理由

 記事にもあるように、APカンパニーは法人顧客をターゲットとして、説明会や講演会の弁当市場を開拓して業績を伸ばしているようです。

 自分たちが畑から作っているという産直感を訴求することで、品質が良いのに価格が安いということが評価されているようです。

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塚田農場が狙ったのは改訂された交際費・会議費市場

 それにしてもなぜ2千円もするお弁当を、法人はこれほど沢山購入するのでしょうか?

 その理由はお弁当の価格帯にあります。

 通常、会議などで顧客等へお弁当の差し入れや提供を行う際にかかる費用は、交際費として処理されるべきものです。

 ところが皆さんも御存知の通り交際費には、

  • 資本金1億円以下の企業:800万円/年までしか損金算入できない
  • 資本金1億円以上の企業:費用の50%に相当する金額を超える部分は損金算入できない

 という損金算入の制限がかかっています。

 ただし、1人あたり5,000円以下の費用であれば、会議費として全額を損金算入することが可能です。

 もう一度塚田農場のお弁当の価格帯を見てみると、中心となる価格帯は2,000円で、十分企業が求める損金算入の要件を満たしています。

 奇しくもこれらのルールが適用される法改正が行われたのは、平成26年4月のことです。

 つまり、APカンパニーは法改正が行われると同じタイミングで、躊躇せずに企業の交際費・会議費市場へ参入したことになります。

 製薬会社の側からしても、タイミングよく飛び込んできたAPカンパニーの提案は、非常にメリットの大きなものだったことでしょう。

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いち早く法改正に目を付け行動を起こせばチャンスは大きい

 法改正は多くの会社に混乱を来すと同時に、新しい分野にチャレンジしたい企業にとっては大きなチャンスを生み出します。

 APカンパニーが交際費・会議費市場で起きた法改正を、電光石火の早さでうまく弁当ビジネスに落とし込んだのは、その良いお手本です。

 確かに、また交際費や会議費の損金算入について改訂があれば、APカンパニーにとっても事情は変わってくることでしょう。

 しかし、今現在、このビジネスで成功しているのは紛れもない事実。

 私達もめざとく国の政策を注視することで、同じように新たな市場を切り拓くことができるかもしれません。

※国税庁:交際費等の範囲と損金不算入額の計算
https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5265.htm

交際費
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