節約 社長
松尾 順
松尾 順プロフェッショナル・マーケター - ジェネシスコミュニケーション

顧客満足を高めたいならお客様に「自己コントロール感」を与えよう

顧客満足を高めたいならお客様に「自己コントロール感」を与えよう
 レストランで食後のコーヒーを味わっている時に、「お皿をお下げしても良いでしょうか?」と言われた途端、こちらが承諾もしないうちに皿を下げられると、なんだか心がざわつきますよね。人は選択の自由を奪われることに不快感を感じ、自らが選択できる「自己コントロール感」を感じる時に満足を感じます。顧客満足を高めるには、お客様に「自己コントロール感」を与える必要があります。

店員のさりげなく早急な片付けにざわつく心

 こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

 今回は、顧客満足度を高める、ちょっとした顧客対応テクニックをお教えしましょう。

 あなたは今、レストランにいるとします。注文した料理をおいしくいただき、食後のコーヒーを味わっています。

 そこへウェイターがやってきて、

  「皿をお下げしてもいいですか?」

 と言いながら、さっと皿を取り、厨房へと歩いていきました。

 よくある風景ですし、たいしたことはないように思いますが、このとき、あなたの心はちょっとざわついているのです。(自分でも気づくか気づかないかの微妙な感覚です)

 なぜざわつくのでしょうか?

 それは、「皿をお下げしてもいいですか?」とあなたの許可を得るような聞き方をしていながら、こちらの承認を与える間もなく皿を下げてしまったからです。

 たいしたことではないのですが、自分の「選択の自由」を奪われたように感じて、ちょっとだけむっとする感情が湧き出してしまう。

 その結果、なんとなく不快な感情が後を引き、そのレストランに対する顧客満足度が下がってしまうのです。

顧客満足度を上げたくば選択の自由を奪うな

 「神は細部に宿る」と言いますが、こうしたちょっとした不快感の積み重ねが顧客満足度を下げる要因となり、固定客化を阻んでしまうのです。

 このあたりの感情の機微がわかるウェイターであれば、

  「皿をおさげしてもいいですか?」

 と聞いた後、お客様の返事を待ちます。

 「はい」と声を出してくれる人、小さくうなずくだけの人、人によって「承認」の与え方は違うものの、お客様の承認を得てからおもむろに皿を取りあげます。

 そうすると、これもまた微妙な感覚ですが、お客様は心地よい気分になるのです。自分の選択の自由が守られたからですね。

 人にとって最も嫌なこと、つらいことの一つが、自分の選択の自由、すなわち「自己コントロール感」を奪われることです。

 以前書いた、電通社員の自殺についての記事でも、長時間労働以上に本人が辛かったことは、自分の時間をどう使うかという選択の自由が奪われたことではないか?と指摘しました。

 電通社員のような過酷な現場に限らず、日常の生活のちょっとしたことについても、私たちは「自分で決めたい」のです。他人に強制されたくないのです。

 ですから、顧客対応の現場においては、お客様にできるだけ選択の自由を与えること、また相手の承認をしっかり得るような形でのコミュニケーションを図ることで、顧客満足度の向上が可能になります。

自己コントロール感を提供することで顧客と快適なコミュニケーションを

 また、この自分で選択したいという心理を上手に利用して、こちらの望む選択肢に誘導することもある程度可能です。

 たとえば、人は早く聞いた言葉よりも、ゆっくり丁寧に言われた言葉を選ぶ傾向が高いのです。

 したがって、コールセンターに電話が集中してつながりにくくなっているとき、できればお客様にかけなおしてほしいときの自動ガイダンスは、次のように工夫することが有効です。

  「大変込み合っております。

 そのままお待ちいただくか(早く話す)

 もう少し経ってからおかけなおしください(ゆっくり話す)」


 上記のガイダンスの場合、かけなおすお客様が増えます。

 ずっと待って“いらいら”が募るよりは、かけなおしてもらったほうがお客様の満足度をあまり下げなくてもすむというわけです。

 相手の「自己コントロール感」を阻害しない、つまり相手の選択の自由を大切にしたコミュニケーションは対お客様だけでなく、対上司、対同僚、対家族など、あらゆる場面で効果がありますのでぜひご活用ください。

2017年3月2日

サービス 顧客満足 自己コントロール感

松尾 順
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