iDeCoとNISA⇒20代〜60代の世代別で最適な運用方法を敏腕FPが徹底解説!

資産運用

 国が掲げる「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、投資に関して様々な税制優遇制度が続いています。中でも、2014年からスタートした少額投資非課税制度のNISAと、今年から加入対象が大幅に拡大した個人型確定拠出年金、通称「iDeCo」は、賢く運用したいところ。本稿では敏腕FPの赤井さんが、これらの制度について20代〜60代の世代別の最適な運用方法を教えてくれます。

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「貯蓄から投資」iDeCoとNISAの制度が充実

 国が掲げる「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、投資に関して様々な税制優遇制度が続いています。

 日本人の個人金融資産は1600兆円、こんなインパクト大の数字を見たことのある方も多いと思います。

 そのほとんどを保有しているという高齢者資産の流動化を図りつつ、さらに年金不足が不可避の若年層には、自分でどうにか運用して増やしてほしい、そんな政府の想いが現れた政策だと思います。

 皆さんは有効活用できているでしょうか。

 2014年からスタートした少額投資非課税制度のNISAは、2016年には投資上限額が年間100万円から120万円まで拡大し、またジュニアNISAも新設されました。

 一方で2017年1月からは、個人型確定拠出年金、通称「iDeCo」の加入対象が大幅に見直され、20歳~60歳の国民年金加入者のほぼ全員が加入できることになります。

 それぞれ税制上のメリットに注目が集まっていますが、情報が溢れていて「そもそも何からやっていいのか分からない」という方も多いようです。

 今回はいくつか事例に分けて、これらの制度をどう有効に使うべきか、世代別にまとめてみました。

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NISA・ジュニアNISA・iDeCoそれぞれの特徴

 まずはNISA、ジュニアNISA、iDeCo、それぞれの特徴をおさらいしてみましょう。

1)NISA

 年間120万円までの株式、投資信託などの投資に対し、売買利益や分配金・配当金が非課税になる制度です。

 通常投資の運用益は20%課税されます。例えば100万円投資して150万円になった場合、本来なら50万円×20%の10万円の税金を納めるところ、NISAなら非課税です。大きいですよね。

 NISAでの運用は、やめたいときにいつでもやめられます。

2)ジュニアNISA

 0歳~19歳までの未成年名義の口座に、親や祖父母が資金を拠出します。売買益や運用益が非課税という仕組みはNISAと同じですが、投資元本の上限は80万円です。

 また子供が18歳になるまで「払い出し制限」があります。これは「払い出せない」のではなく、途中での払い出しにはそれまでの運用益に通常の20%が課税されてしまう、という意味です。

3)iDeCo(個人型確定拠出年金)

 NISAは運用益の「非課税」が特徴でしたがiDeCoは、

  • 1)加入することによって「節税」ができて
  • 2)運用中の利益も「非課税」で
  • 3)受取る際にも「控除」を受けられる

 という退職金・年金作りのための制度です。

 1)の節税に関しては、支払う拠出金が所得から引けるので、所得税と住民税が下がる、という意味です。

 所得税率が20%、住民税率が10%の例でいうと、月々20,000円、年間24万円を積み立てた場合、24万円×30%=72,000円ぶんの節税効果がある、という計算になります。これほど高い投資効率の商品はありませんよね。

 今までは自営業者や企業年金制度のないサラリーマンのみ対象の制度でしたが、 2017年1月からは専業主婦、企業年金加入者、公務員なども加入することができるようになります。

 良いことずくめのようなiDeCoですが、60歳までは解約できません。つまりNISAと違って「払い出せない」ことに注意が必要です。(掛け金を減らすことはできます。)

 ちなみにiDeCoでは個別株の運用を選択することができません。

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iDeCoとNISA〜世代別の効率的な利用方法

 似ているようでかなり違う3つの制度ですが、ここからは、より効率の良い利用法を世代別で挙げてみたいと思います。

20代

  • 独身
  • 勤務先に企業年金(確定拠出年金)があり、元本保証商品で積み立てている
  • 銀行預金にある程度預金があり、勉強のために株にトライしたい

□□アドバイスサンプル□□

 年間120万円以内の株式投資なら、NISAがベストでしょう。企業年金でローリスク運用を選択しているので、多少リスクを取っても積極的な運用にトライすることは勉強にもなります。

 ただし単一の株を一度に買うのではなく、複数の業種や企業に分けて、また時期もずらしながら分散投資をするほうがリスクを抑えられます。

30代

  • 子供ができたばかりの夫婦
  • 夫の会社には企業年金ナシ。妻は専業主婦
  • 年金も気になるが、子供の大学費用も積み立てておきたい

□□アドバイスサンプル□□

 学資保険などの積立利率が下がっている今、効率良く積み立てるならジュニアNISAが適当だと思います。

 一方で、iDeCoでも可能な範囲で積立を開始しておきたいです。最低5000円からスタートできるので、夫婦共に「貯める癖」を付けておくことが望ましいでしょう。

40代、50代

  • 夫個人事業主、妻パート
  • 子供は大学生

□□アドバイスサンプル□□

 個人事業主は国民年金のみなので、もっとも個人年金が必要な立場です。可能ならiDeCoでの最大限6.8万円の積立てに加え、妻も同じく上限の2.3万円の積立てを勧めたいところです。

 退職を考えている時期までまだ時間があるようなら、元本保証のみの運用ではなく、投資信託を取り入れても良いと思います。

60代以降

  • 退職金は定期預金に
  • 相続対策を検討中

□□アドバイスサンプル□□

 相続財産を減らす目的で、複数の孫へ資金振り分けもできるジュニアNISAが使えます。子供の意思で無駄遣いすることもできませんし、孫が20歳に到達しても、そのまま孫のNISAとして運用も継続できます。

 また、本人も定期預金の内、年間120万円のNISA枠を利用した分散投資も勧められます。ローリスク商品でも、定期預金よりは高い運用益を得られるはずです。

 ただし、元本が目減りしていくような毎月分配型の投資信託は避けましょう。

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iDeCoもNISAも長期的な視点による運用が不可欠

 いかがでしたでしょうか。

 2つのNISAが手取りで行う余裕資金の運用・資産形成だとすると、iDeCoは税引き前の収入で行える年金対策、という位置づけになります。

 目的が年金対策なのであれば、よりメリットの多いiDeCoで積み立てて、上限に達した後にNISAで、という順番が良いと思います。

 さて、メリットばかり目が行きがちですが、iDeCoでもNISAでも、元本保証の商品でなければ資産が目減りするリスクは当然あります。

 元本保証だとしても、あまりにパフォーマンスが悪いと、維持費や手数料に負ける可能性もゼロではありません。

 しかし、短期的な騰落に一喜一憂せず、長期的な運用を目指して積立てれば、高い確率で運用益を享受できるはずです。

 国民年金や厚生年金だけで豊かな老後を過ごすことは、ほぼ不可能です。使える優遇制度はフル活用して、将来に備えたいですね。

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赤井雅

株式会社アセットリンクマネジメンツ
取締役 赤井 雅

1977年生まれ
福島県福島市出身
中央大学商学部卒

〇個人・法人向けファイナンシャルプランニング、リスクマネジメント
〇生命保険・損害保険代理業
〇各種専門家と連携した相続対策
〇住宅ローン取次代理業

こんにちは。ファイナンシャルプランナー(FP)の赤井です。
国内ではなかなか認知度の低いFPという仕事ですが、欧米では「不動産」「保険」「運用」などの大きなお金が動くときにFPに相談するのは当たり前。

「不動産業者」「保険業者」「証券業者/銀行」などのプロに負けないノンプロを育てる、を理念に掲げて活動しています。

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