日本経済にとって今必要なのはインバウンド「労働力」

労務

 日本にとって重要なインバウンドは「消費」だけではない。深刻な労働力不足に陥った業界では、インバウンド「労働力」も必要とされている。特に介護業界や建設業界は、東京オリンピックや2025年問題を間近に控え、切実にインバウンド労働力を求めている。しかし安い労働力と彼らをみなす考え方で乗りきれるほど事情は甘くない。彼らの働きやすい環境作りが急務だ。

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インバウンドは観光客だけを指す言葉でない

 「爆買い」という言葉が定着し、日本のビジネス界隈は”インバウンド消費”というキーワードに対して、ことさら敏感になっている。

 日本の近未来は、外国人が落とすお金にかかっているといても過言ではない。

 政府が昨日、2020年のインバウンド目標を、2,000万人から3,000万人に引き上げたこともそれを如実に表す。

 さて、「インバウンド」という言葉は、もともと「入ってくる」という意味の英単語である。

 観光客が外から入ってくるという意味で、日本ではインバウンドを「海外旅行客の消費」を指す言葉として使われているが、日本が欲しているインバウンドは消費だけではない。

 労働力の面でも、インバウンドに注目する必要が生じている。名づけて”インバウンド労働力”だ。

 なぜ今、日本経済にインバウンド労働力が必要とされるのか、以下解説する。
 

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特に人材不足となっている業界は介護業界

 深刻な労働力不足に陥っており、日本人だけで十分なサービスを実行することができない業界がある。

 介護業界だ。

 厚生労働省は今年1月に、介護職に携わる場合は外国人が来日しやすいよう法案の素案をまとめた。

 3月には介護職に関わる外国人実習ビザを延長することが閣議決定され、国会で法案が成立すれば来年度から法施行される運びとなっている。

 もともと外国人向けに日本政府は、日本語を学びながら労働できる「外国人技能実習制度」という制度を設けてきた。開発途上国に向けて先進国としての義務から成る制度としての色が濃い、最長3年間で先進的な日本の産業を学べる制度だ。

 法案ではこれを最長5年に延長し、かつ対象の職種として介護業界を追加した。

 今回の閣議決定では、介護職以外にも林業、建設現場などの職種で実習期限が拡大された。

 労働力不足をインバウンド労働力で打開し、2020年の東京オリンピックに向けたインフラ整備や、団塊の世代が高齢化する2025年問題を乗り切る必要があるからだ。

 特に、介護職に関わる資格を取得した外国人実習生に対しては、在留期間を延長する内容も盛り込まれ、介護業界が働き手としての”インバウンド労働力”を切実に求めている背景が浮かび上がる。

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規制緩和に加えてソフト面の援助も並行せよ

 人材不足は、介護や建設だけではなく、飲食・流通さまざまな業界で広がっており、実際に多くの外国人がこれらの業界で働きはじめている。

 彼らを使い捨てのように働かせる現場も散見されるが、それもいずれは難しくなるだろう。

 既に発展途上国と呼ばれている地域では生活水準が上昇しつつあり、働き手を求める先進国も日本だけではないからだ。

 当然のことながら、条件の良い国にインバウンド労働力は流れていく。

 ビザ期限の延長などの規制緩和はもちろん、言語力や知識が求められる職種を中心に、現場へ入る外国人に対してどのようなサポート体制を敷くべきかも考えなければ、十分なインバウンド労働力の獲得は不可能だ。

 ミライの日本を支えるパートナーとして、外国人を迎える姿勢が我々日本人には求められている。

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