事業をする個人≠プライベートの個人〜個人事業主の悩ましい確定申告

確定申告

個人事業主という、サラリーマンでもなく会社の社長でもない立場。確定申告を行う時に、多くの個人事業主は「事業をする自営の個人」と「プライベートの個人」の境目で、費用の計算に苦労します。

全額を費用計上すれば否認され、費用を過少申告すれば税金が増えてしまいます。

これを防ぐために重要なのが経費按分の概念です。

どういうことなのか?詳細を、税務のプロに解説していただきました。

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事業をする自営の個人≠プライベートの個人?

「事業をする自営の個人とプライベートの個人は異なる。

業務の中で、この概念をお客様たちに理解していただくのに、とても苦労します。

所得税は、一人一人の一年間の所得(もうけ)に対して課税されます。

つまり、所得税自体は各自年間でひとまとめで税金を計算します。

ただし、個人事業を営んでいる「事業所得」の場合には、

事業を営んでいる個人

普段生活している個人

では異なるという考え方があります。

「何でもかんでも事業の経費にできる訳ではない」と、よくいう事をよく考えておく事が必要です。

事業所得の計算方法

事業所得というのは、

事業所得=事業収入−必要経費

という計算により算出されます。

この必要経費という部分で注意が必要になってきます。

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サラリーマンは個人事業主より手取りが多い?

なお、サラリーマンは必要経費が無いから不公平だと思われるかもしれませんが、

そもそも給与所得の計算構造は

給与所得=給与収入−給与所得控除

というように計算されますので、概算の経費として「給与所得控除」というものが、収入から引かれて所得税が計算されています。

更に、自営業者と給与所得者のみのサラリーマンが同じ収入だった場合、サラリーマンは社会保険も「厚生年金」と「健康保険」で天引き済みであり、自営業者よりも手取り(実際に自由に使える金額)が大きいと言えます。

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個人事業主は事業とプライベートをどうわける?

自営業の必要経費に入れられるのは文字通り、

「事業所得を生じるのに必要となる経費」

という訳です。

ですので、プライベートな個人での家族旅行などは税務調査では否認事項となります。

よくあるのが「経費按分(あんぶん)」という考え方です。

自宅兼事務所の賃貸家賃を必要経費に入れる場合、もし全額を必要経費に入れていたとしたら、まず否認されることと思います。

プライベートな部分も混在していますからね。

ですので、きちんと個人事業で使用している場所を面積按分して経費計上するのも一つかと思われます。

家賃以外でも下記のようなところは按分が必要だと思います。

  • 水道光熱費(電気代・ガス代)
  • ガソリン代
  • 通信費(インターネット料金や携帯電話代金)

私たちがよくやる経理的なテクニックで言えば、12カ月全額を一旦は経費計上して、決算仕訳でプライベート部分をマイナスする(自己否認などとも言います)という方法もあります。

いずれにせよ、全額を計上していても、否認されるのは目に見えています。

もし税務署に聞かれても答えられる(耐えうる)証拠や、計算根拠を用意しておくと良いと思います。

まずは確定申告に向けての準備段階として、必要経費の部分を書いてみました。

あっという間に年末年始はやって来て、確定申告の期限もすぐに来るので、少しずつ準備を始めてはいかがでしょうか?

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高橋輝雄

1982年 埼玉県の草加市にて生を受ける。
埼玉県立春日部高校、明治大学商学部を経て、某システムインテグレータ企業へ就職。
システム開発やシステム導入、インフラ構築に携わる。

「より直接的にお客様たちの喜ぶ姿を見るために尽力したい」

という思いから尊敬する父と同じ税理士業界へ飛び込むことを決意する。
東京日本橋の会計事務所にて税務・コンサルティングを担当し、独立に至る。

大学院にて会計・税務並びにMBAを学び、ファイナンシャルプランナーを取得。
近年の相続税改正に伴い、個人の相談業務にも力を入れている。

好きなスポーツはバスケットボール、野球、サッカー。

自身のスポーツ経験は、空手(静岡ジュニア大会 2年連続優勝)、走り高跳(春日部市内陸上大会優勝)、バスケット9年、軟式野球2年、サッカー(フットサル)3年、テニス、水泳など、大のスポーツ好きです。

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