節約 社長
松尾 順
松尾 順プロフェッショナル・マーケター - ジェネシスコミュニケーション

声無き要望に答えよ〜ゆっくり走る「タートルタクシー」誕生の背景

声無き要望に答えよ〜ゆっくり走る「タートルタクシー」誕生の背景
 顧客は製品やサービスに不満や要望があっても、それを必ず伝えてくれるわけではありません。従って、私達は「声無き不満や要望」から新たな活路を切り拓く必要があります。ゆっくり走る「タートルタクシー」は、高齢者や妊婦などの「ゆっくり丁寧に運転して欲しい」という声無き要望を汲んで生まれたサービスであり、その誕生秘話は多くの学びを与えてくれます。

顧客は不満や要望を必ずしも伝えてくれない

 こんにちは。ジェネシスコミュニケーションの松尾です。

 今回は、ゆっくり走るタクシー「タートルタクシー」の導入秘話です。

 顧客が製品・サービスに対して、なんらか不満や要望を感じたとしても、それをいつも率直に伝えてくれるわけではありませんね。

 顧客の立場で考えるとわかりますが、文句にも、「言いやすいこと」と「言いにくいこと」があります。

 例えば、飲食店では、店員さんに「この料理は味が薄いよ」ということは言いやすいけれど、「味が濃い」とは言いにくいものです。

 不思議ですが、なぜだか「味が濃い」とは言えないもの。

 ですから、たいていの飲食店で味が濃い目になりがちなのは「味が薄い」という不満に対応した結果かもしれません。

顧客の「ゆっくり運転して欲しい」という声無き要望から始まったタートルタクシー

 声無き不満や要望は、同じようにタクシーでも生じていました。

 タクシーの乗客が口に出すのは「急いでくれ」という要望ばかり。このため、三和交通の社長、吉川永一氏は、「タクシーの一番の価値は、早く目的地に着けること」だとばかり思っていたのです。

 しかし、タクシーを利用する目的は実のところ「急いでいるから」だけではないのです。

 高齢者や妊婦さんなど、電車やバスでは階段の上り下りが大変、また車内で立ちっぱなしだとつらいから、「体の楽なタクシーで」という方もいらっしゃるはず。

 こうした方の場合、必ずしも急いでいないわけですし、早く着くことより、むしろ、ゆっくりでもいいから丁寧で揺れが少ない運転を望んでいることもある。

 吉川氏は、こうした「ゆっくり走るタクシー」に対するニーズがあるのではないかと「アンケート調査」を実施したのです。

 アンケートでは、

「ゆっくり丁寧に運転してほしいと感じたことがありますか?」

 という質問をしたところ、予想通り76%の人が「YES」と回答しました。

 しかも、

「運転手に(ゆっくり走ってという)要望を伝えづらいと感じますか?」

 という質問には約9割の人が「YES」と回答したのです。

 つまり、タクシーにおいては、「急いで」は言いやすいけれど、「ゆっくり走って」とは、思っていても口に出しにくいということがわかったのです。

要望を伝えやすい「ゆっくりボタン」の工夫も

 そこで、三和交通では「タートルタクシー」という名称をつけたサービスを2013年12月から開始しました。

 タートルタクシーは助手席のヘッドレストの裏側にパネルを設置。

 大きく「ゆっくり」と書かれた下に亀のイラストのボタン、さらにその下には「ボタンを押すと、いつもよりゆっくり丁寧な運転を開始します」という表記があります。

 開始時は三和交通本社のある横浜地区において、タクシー10台に「ゆっくりボタン」を設置したのですが、3カ月間、6000回の賃走中、1274回のボタンが押されたとのこと。

 タートルタクシーを指名する電話予約も増えるという結果が得られました。

 現在、タートルタクシーは横浜、埼玉、東京西部(八王子、府中など)で約500台への導入が完了しています。

 利用者の声なき要望を捉え、またその要望を伝えやすいような工夫をこらしたタートルタクシーには学びが多いですね。

2016年10月27日

マーケティング 要望 不満 タートルタクシー

松尾 順
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