事業継続計画(BCP)の策定項目と外部委託による策定時に気をつけるべきこと

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 事業継続計画(BCP)の策定にあたり、具体的に記載するべき基本的な項目をご紹介いたします。更に、外部へ委託して事業継続計画を策定する際に、気をつけるべきことについてご紹介したいと思います。最初から完璧な事業継続計画(BCP)を作ろうとせず、絶えずアップデートしながら改善していきましょう。

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事業継続計画は誰に対してもわかりやすく簡潔なものであるべき

 これまで数回にわけて、事業継続計画(BCP)の策定について説明してきましたが、今回は実際の具体的な策定時に記載するべき項目と、外部へ委託して事業継続計画を策定する際に気をつけるべきことについて、ご紹介したいと思います。

 ポイントは、事業継続計画を共有する際に、誰が見ても明確で分かりやすく情報が簡潔にまとめられている計画を策定することです。

 特に、フローチャートや図表、箇条書きにすることで短時間に把握できるようになります。

 以下、詳細をご説明いたします。

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事業継続計画の具体的な13の項目とは

実施責任者(部署)

 緊急時は早期の判断と決定が必要です。各項目には誰がいつまでに何をすべきかをあらかじめ決めておくことが大事です。

 実施責任者(または実施部署)と代替者(サブリーダー)は、明確に記しましょう。

記載項目の概要

 下記には基本的な項目を掲げておりますが、業種や業務内容によって追加・変更が必要となります。

 特に緊急時の「応急対策」と事前に備えておく「予防対策」に振り分けておく必要があります。

  • ・基本方針:多くの場合は、従業員の安全確保とともに取引先や顧客、社会的意義を中心に記載しています。これ以外にも業務内容に応じて地域社会、施設保全、機能保全、環境保全などを掲げている企業もあります。
  • 1)リスク対象: 地震(水害、パンデミック、テロなど)
  • 2)業務上の被害想定および二次的影響の抽出
  • 3)業務上に想定される重要業務への影響(内的・外的要因)
  • 4)緊急時のBCPフロー
  • 5)組織・運用体制と指揮命令系統
  • 6)安否確認および緊急連絡体制(多重化)
  • 7)外部との情報の受け渡し体制(連絡先)
  • 8)避難レベルと避難体制
  • 9)被害状況の把握 ⇒ 被害レベルや時間経過に応じた対応策(タイムライン)
  • 10)予防対策として、データ類の管理(冗長化、バックアップ、分散)、遠隔地の同業者との災害時相互応援協定など
  • 11)応急対策として、災害対策本部の拠点および代替拠点
  • 12)復旧対策として、資金財務と保険(復旧算定)、地域や関連会社との連携、データ復旧
  • 13)資料編には、必要に応じて配置図や電気配線図、危険物取扱品など
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事業継続計画(BCP)を外部の人と作る際はどんな人を選ぶべき?

 事業継続計画(BCP)は本来、経営陣やその中核となる人が中心となって作るのが理想なのですが、これを取りまとめて文書化したり、図表を作成するのはとても面倒です。

 また、どこから手をつけたら良いのか?何を盛り込むべきなのか?を自社だけで整理するのは難しいことだと思います。

 そこで事業継続計画(BCP)をお手伝いするプロに任せる場合もあるかと思いますが、どんな会社(担当者)に任せると良いのかお伝えします。

発注側として実担当者が誰か明確にしてもらう

 営業マンは別として、説明やプレゼンをした担当者が非常に分かりやすければ「こんな人だったら任せても良いかな」という印象を持つのですが、実際に担当する人は別人というパターンも少なくありません。

 「あらかじめ実担当する人が説明に来てほしい」と依頼することが大切です。

理解できない専門用語を使わない人を選ぶ

 コンサルタントの悪い癖かもしれませんが、横文字を使いたがる人が多いのが現状です。

 キチンと意味を捉えながら補足説明すれば良いのですが、多くのコンサルトは何となく使っている人が多いように見受けられます。

 アサイン、インベントリー、サステナビリティ、スキーム、アジェンダ、スパン…。

 デキるコンサルタントは、難しい専門用語を極力使わずに、お客様に対してキチンと理解していただけるように説明しています。

傾聴と観察を行い適切な提案をしてくれる人を選ぶ

 コンサルタントに多いのが、クライアントの話をよく聞かずに、自分たちが考えてきた提案を押し売りする人たちです。

 客観的な現状観察、問題点の指摘、原因分析、対策案の提案が適切になされているかを見極めてください。

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完璧な計画書は皆無ゆえ定期的なチェックで修正を

 事業継続計画を策定する際、多くの企業様を見ていると、最初から完璧なものを作ろうとしているのをよく見受けます。

 しかし、防災計画も事業継続計画も、被害やリスクゼロを目標としていても、それを100%カバーできる計画策定は皆無と言っても過言ではありません。

 まずは従業員に対して周知と共有化を図りながら、定期的なチェックを行うことで、多種の事態にも対応可能な計画書になります。

 また、事業継続計画(BCP)は従業員だけでなく、取引先、実行責任者の家族にも理解してもらう必要があります。

 次回は、事業継続チェックリストと実際の取り組み事例をご紹介します。

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著者:
災害リスク評価研究所 代表
松島 康生先生
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