脅されて支払ってしまったみかじめ料はどう処理するべきか?

税務調査

 みかじめ料とは、暴力団が自分の縄張り内で営業活動を行おうとしている事業者に、挨拶代、ショバ代(場所代)、用心棒代などの名目で要求する金品です。個別の事例では予見し得ない形で脅され、やむを得ずみかじめ料を支払ってしまうケースがあります。やむを得ず支払ってしまったみかじめ料は、どのように処理すれば良いのでしょうか…

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みかじめ料の支払いは「きっぱり拒否」が原則

 みかじめ料とは、暴力団が自分の縄張り内で営業活動を行おうとしている事業者(飲食店、風俗店、パチンコ店など)に、挨拶代、ショバ代(場所代)、用心棒代などの名目で要求する金品をさします。

 暴力団排除条例等の影響で支払を拒否するところも多くなりましたが、先月には福岡でみかじめ料を脅し取ったとして逮捕者が出るなど、まだまだ根深い問題として各地に残る習慣です。

 みかじめ料を要求されたときは、きっぱりと拒否して警察に通報するのが当然のことです。

 時と予見しえない形で相手に脅される等して、万が一、人には言い難い、突発的なみかじめ料の支払いが生じてしまったときには、どう処理すればよいのでしょうか?

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脅されてやむを得ず支払うみかじめ料の処理

1)社長個人の支払とする

 社長が個人のポケットマネーから支払った、若しくは会社に社長からの借入金があれば、その借入金の返済として処理します。この場合には会社の損益には一切影響はありません。

2)使途不明金/秘匿金とする

 相手先・用途などを一切明かさない費用として処理します。この場合には会社の赤字・黒字に関係なく、“支出額”×40%の法人税とさらに地方税まで課されますので、現実的な処理とはいえません。

3)交際費として処理する

 交際費とは取引先その他利害関係者に接待,供応,慰安および贈答などを行うために支出する費用のことで、この場合、暴力団関係者を利害関係者と判断して交際費とします。

 法人税法上、大企業では交際費は原則損金不算入ですが、中小企業では800万円までなら損金算入されます。

4)寄付金として処理する

 暴力団関係者を会社の営業と無関係な第三者と判断すれば、寄付金として処理します。

 法人税法上、寄付金は損金算入限度額計算があり、全額が損金とできない場合もあります。

 この点については、税務上、租税特別措置法関係通達(法人税法編)第61条の4《交際費等の損金不算入》関係61の4(1)-15(交際費等に含まれる費用の例示)の中に、(6) いわゆる総会対策等のために支出する費用で総会屋等に対して会費、賛助金、寄附金、広告料、購読料等の名目で支出する金品に係るものという例示があり、これに類するものとして交際費として取り扱うことが多いと思われます。

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相手も相手…新しい種類のみかじめ料も増える

 何度も言及する形になりますが、みかじめ料は本来支払ってはならないものです。

 しかし、最近では暴対法の取り締まりが厳しくなる中で、みかじめ料という直接的な要求ではなく、一見すると通常の費用のような形で、要求してくることもあります。

  • ・雑誌や新聞の購読料
  • ・任意団体、組合の会費
  • ・観葉植物などのレンタル料
  • ・商品、消耗品などの販売

 これらは新聞図書費、諸会費、賃借料、仕入/消耗品費などの項目で処理することになりますが、いずれにしても相場に比べ法外な料金設定になっているため、もし税務調査等で見つかった場合には、暴力団との交際費等として認定される恐れもあります。

 ベストな道は、徹底的に暴力団との繋がりを避けることになるでしょう。

※本稿でのみかじめ料支払いは、不可抗力の元でやむを得ず金銭を渡さざるを得ない状況を想定しており、反社会的勢力との関わりを助長するものではありません。

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