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【中小企業の読者限定】消費低迷を口実にした大手小売の値下げを安易に受け入れてはならない

【中小企業の読者限定】消費低迷を口実にした大手小売の値下げを安易に受け入れてはならない
 消費マインドが低下し、消費者の価格に対する姿勢が厳しくなったことを受けて、イオンやABCマート、ニトリを始めとする小売大手は、値下げに踏み切る方針を表明しました。大手の価格トレンド形成に対して、資源の限られた中小企業が右ならえの姿勢を見せるのは果たして得策なのでしょうか?

大手各社が消費マインド低下で値下げの方針へ

 ロイターニュースの伝えるところによると、消費の先行き不透明感が強まるなか、「値下げ」にかじを切る大手小売企業が増えていると言う。

 消費マインドが低下し、消費者の価格に対する姿勢が厳しくなったことを受けて、イオンやABCマート、ニトリを始めとする小売大手は、値下げに踏み切る方針を表明している。

 確かに目先は、円高による海外からの仕入れ差益を元に、大手企業は値下げを行うことだろう。自社の業績を維持するための極めて現実的な手段である。

 ところで本記事の読者にも、小売大手と取引されている方が多いことと思う。

 筆者もその一人であるが、同業他社との会話を通じていつも感じている違和感が一つある。

 なぜ、多くの企業が「良い商品を安く売ることが儲かる秘訣」という誤った前時代的な認識を持っているのか、ということである。

 大量消費が終わった現代において私達は、むしろ、コスト削減を伴い品質に磨きをかけて開発した商品を「適正な価格で売る」ことを目指し、値上げを目標にしたほうが良いはずだ。

 今回の大手値下げにあたっても、仕入れ価格の値下げ要請が、商品を提供する卸売企業・メーカーに下るだろうし、これに応じる企業が殆どだろう。

 コモディティ化された商品を販売するだけなら、値下げ要請に応じることも顧客を潰さぬ一つの手段かもしれないが、単純に大手の価格トレンド形成に対して、資源の限られた中小企業が右ならえの姿勢を見せることが、良い結果を生むとは考えられない。

 そこで本稿では、景気トレンドに従った大手の単純な値下げに、中小企業が安易に従わない方が良い3つの理由を提示する。

大手の値下げに単純に従ってはならない理由

今までの倍売るという言葉にはワナがある


 よく大手企業の購買部の人間は、値下げを要請する際に、例として「今までの倍売るから原価を100円から80円にしてほしい」という言葉を使う。

 この「倍売るから値下げして」というコメントは、甘い蜜を持つ花のように私達を取引へ誘いこむが、実はそれは毒花であり、ワナに過ぎない。

 小売の粗利益は平均して30%程度である。130円で小売が販売しているならば、その原価は100円だと考えれば大体は合っている。

 100円で卸す商品の原価が70円であれば30%の粗利が出るのに対して、原価をすげ替えられずに80円で値下げ販売する場合、粗利はわずか10%しか出なくなる。

 倍売るだけでは今までより利益が落ちるだけであり、もし現状維持を目指すならば、今までの3倍販売させるよう、相手に契約を通じて確約させねばならないのだ。

 しかし、顧客のパイは値下げをしたところで、一気に3倍へ膨れ上がることなど、まずあり得ない。

値下げによる数量拡大は固定費の増大を意味する


 では、仮に3倍の数量を納品する契約を結べたとして、これを実現させるための人員は、今までと同じ人数で良いだろうか?

 ほぼ無理だろう。

 クレーム対応、店舗への巡回対応、ロジスティクスの再構築、3倍の商品を売るための販促支援要請が付いてまわるからだ。

 付け焼刃的に「作業するだけ」で、育てられるかどうかもわからぬ、パッとしない人材を急遽採用しなければならないだろう。

 重い在庫負担と、在庫維持に係る固定費は、銀行の財務諸表評価ではマイナスの要因となり、大きくなったキャッシュフローを助けるはずの融資すら危うくする。

値下げは創意工夫の深慮を行う時間を経営者から奪う


 現場の人間が疲弊しはじめ、最後にケツを持たなければならないのは、経営者の貴方である。

 いよいよをもって、現場で陣頭指揮を取るのはもちろん、貴方も現場作業にほぼ全ての時間を充てなければならなくなるだろう。

 経営者の仕事とは、作業ではない。経営者の仕事とは、新たなビジネスを発掘し続け、円滑な資金調達を行い、人事をマネジメントすることである。

 現場を疲弊させる安易な値下げを続ければ、貴方は作業に専念せざるを得ず、これら経営者の本分といえる業務を全く行えなくなるはずだ。

大手が値下げなら中小が取るべき戦略はこれだ

 大手小売は既にマーケットシェアを取っているため、今回の値下げに関するトレンドも、価格決定権を持って競合を潰し、自らが生き残るための手段とすることだろう。

 マーケティングで言うところの、戦略的価格決定法という価格決定戦略を取っているだけである。

 しかも、よく考えてみよう。購買部で偉そうにしている面々は、社内に戻れば上からの評価を気にする人々に過ぎない。

 頭に入っている数字は、事業部の昨年対比売上がどうか?くらいな人間が大半だ。

 すり減らしの戦いに付き合って、頭を下げてへいこらしたところで、倒れた時に彼らが私達を救ってくれることなど起こりえない。

 そんなことに余計な労力を使うくらいなら、「消費者にとって良い商品」を販売することを前提に、大手とは無難なスタンスで付き合い、値下げを少しでも防ぎ、値上げに向けてやるべきことを実行しよう。

 以下は、私達が着手したほうが良い事柄の一例に過ぎない。

財布の数を増やす


 大手企業との取引はワンショットが大きいため楽であり、景気が良い時は、貴方の会社に利益をもたらす。しかし、景気が悪くなった時の大手頼みな売上構成はリスクにしかならない。

 財布の数を貪欲に増やそう。

 世の中には、貴方の商品を自社の差別化商品として、看板扱いしてくれる中小の小売企業が山ほど待っている。

 私達は自分が思っている以上に、新しい市場を国内ですら広げられていないはずだ。

増やした財布で値上げを図る


 取引先を増やしながら、更に商品の品質を創意工夫で改良し、商品の値段(利益)を上げよう。

 新しい取引のタイミングは、自らの商品価値を内実共に高め、値上げを図る上で、最大のチャンスとなる。

自らで販売する道を模索する


 自ら販売する道も模索しなければならない。

 初期投資にかけるお金がないなら、世界中につながるインターネットを利用しない手はない。

 今なら無料でECサイトを作れて、サーバー代も年間1万円あれば事足りる。

 失敗したところで、撤退費用は値下げにかかるコストの数百分の1程度で済む。

 やらないリスクのほうが日増しに大きくなっていることだけは、実際にやっている身としてお伝えしたい。

マーケットを世界に広げる


 景気の波は必ず循環し、やがて商品の付加価値を求める時代が必ずやってくる。

 更に素晴らしい展開として、日本の人口は2050年には1億人を切ると言われているが、時を同じくして、世界の人口は95億人に膨れ上がると予想されている。

 世界を見ればマーケットは拡大し続け、価値のある商品を求める人は、これから更に増え続けるのだ。

 今すぐ世界のマーケットに目を向け、自らの商品を販売する可能性を模索しはじめよう。

 未だ安定してはいるものの、溶け始めた大きな泥船に乗り続けるのは、しばし容易なことかもしれないが、やがて自らの意思で舵取りを行えない時がやってくる。

 海辺に打ち上げられた木っ端を拾い集め、自らの意思で舵取りの出来る船を作ることのほうが、よほど価値を持つ。最初はボロボロに見えても、舵取りの主権は貴方にあるのだから、自らの手で船をアップデートし続ければ良いのだ。

 今こそ、つまらない既得権益の賢くない戦略にハメられぬよう、新たな行動を起こす時が来ている。

2016年7月15日

ロジスティクス 販促 戦略的価格決定法 差別化 付加価値 値下げ 景気

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