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事業承継において信託を活用することが好ましい3つの場面

事業承継において信託を活用することが好ましい3つの場面
 信託とは信じて託す、という言葉通り「財産を預けて、財産の管理・処分等を任せる」ことです。既に到来している高齢社会等の背景を元に、後見的な財産管理や遺産承継を目的とする家族信託は、今後ますます利用されることが見越されます。そこで本稿では信託の活用場面や、税金負担など、信託のイロハを解説したいと思います。

信託とは何ぞや?歴史から紐解いてみましょう

 信託とは信じて託す、という言葉通り「財産を預けて、財産の管理・処分等を任せる」ことです。

 単なる預かりと異なる点は、預かった者が財産の所有権を持つことです。

 近代的な信託制度の始まりは古く、中世ヨーロッパで十字軍の兵士たちがエルサレムへ向かう際に、自分が死んでも残された家族達が路頭に迷わぬよう、現地に残る信頼できる人に、自分の土地を任せたことに起源を発します。

 起源を見てもわかるように、信託は自分がどうなっても、家族や会社が路頭に迷うことのないように、という想いを持って作られた制度なのです。

 信託には登場人物が3人出てきます。すなわち、
  • 【1】財産を預ける人(=委託者)
  • 【2】財産を預かる人(=受託者)
  • 【3】財産から得られる収益を受ける人(=受益者)

 信託契約は委託者と受託者の間で契約されますが、受益者は委託者の判断で自由に設定することが可能です。

 本稿では、信託契約の税務関係や、信託がどのような場面で活躍するのか?といった、信託のイロハを解説したいと思います。

 リスクの多い環境でビジネスを行う経営者の方にとって、後々に何かと活用場面があるかと思いますので、要点だけでも押さえておけば役立つ知識です。

信託の税務取扱いと信託を活用する3つの事例

 信託契約を締結した場合、税務の支払いや税率はどのようになっているのでしょうか?

 まず、税金を支払う役割を担うのは受益者です。なぜなら、信託の受益者は、実質的な所有者とみなされるからです。

 例えば、金銭信託をして収益金が出た場合には、原則として一律20.315%の源泉分離課税が適用され、この支払は受益者が行います。

 財産を預かる人(受託者)は単に預かっただけですので、自らに所有権が移転しても贈与税はかかりません。

 ただし、委託者と受益者が違う場合にのみ、受益者には贈与税がかかります。
  
 それでは、信託を活用することが多い、代表的な3つの事例をご紹介します。

1)議決権を親に残したまま子供に自社株を贈与したい場合

 親が子供に自社株式を贈与した後に、子供(委託者)と親(受託者)で、受益者を子供にする場合、信託契約を結ぶと議決権を親に残せます。

 将来的には子供へ権限を徐々に移すとして、まだ親が会社のマネジメントを行わねばならぬ時など、この手法が用いられます。

2) 生前贈与により財産を子供に移したいが、子供(たとえば長男)が亡くなった場合を考慮し、贈与に踏み切れない場合

 通常、子供が亡くなると、財産は子供の嫁に相続されます。

 しかし、信託契約を結ぶと、例えば長男が亡くなった場合に、受益者を次男にしておけば、長男の嫁が受益者にならず、次男が受益者になれます。

 長男の嫁が会社経営について何もタッチしていないのに株を持つとなれば、簡単に株が外部へ流出する等、会社の経営によくない影響が及ぶ場合もあります。

 このような場面では、代替資産を嫁へ贈与する代わりに、信託契約で受益者を経営のわかる家族にすることで、事業存続を助ける役割を信託は担います。

3) 親が高齢で、財産の管理ができなくなることを見越した場合

 親に意思能力がなくなってしまうと、親に後見人をつけなければなりません。

 しかし、財産を預かる人を子とする信託契約を結ぶことにより、親に代わり、子が財産を管理することができます。

家族経営の企業は90%!重要性は益々高まる

 既に到来している高齢社会等の背景を元に、後見的な財産管理や遺産承継を目的とする家族信託は、今後ますます利用されるようになるでしょう。

 特に、家族経営の企業経営者にとって、事業承継問題は顕著となっており、事業承継を円滑に進めるためにも、信託の重要性が強まっています。

 経営者として今から、信託の知識を持つことをお勧めしたいと思います。

2016年6月10日

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