孫正義のスプリント買収劇 600億の節約方法

企業分析

 ソフトバンクが米国携帯第三位のスプリント社を買収し一年が経過したが業績は相変わらず芳しくない。しかし買収時にソフトバンクは600億円の節約を行っており、過去の歴史を紐解いてもお買い得な買収と出資を繰り返す節約上手な企業である。次の一手次第ではスプリント買収もお買い得だったと言われる可能性がある。
 

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スプリント買収で膨らむ有利子負債は9兆円

 2013年7月ソフトバンクがアメリカ携帯電話会社スプリント・ネクステルを約1兆8000億円(当時)で買収し一年が経過した。
 
 これまでソフトバンクが行った買収のなかで最大規模となったが、2014年現在スプリントの携帯電話順契約者数は米国大手4社で唯一減少し続けている。
 
 浮上のきっかけとして検討されていた成長著しい同業界第四位Tmobileの買収も規制当局の認可が下りる兆しがないまま暗礁に乗り上げた。
 
 買収当事者のソフトバンクは国内携帯電話の通話料による安定収入があり、1兆円の現金を保有する反面、9兆円の有利子負債を抱えている。
 
 スプリント買収前の有利子負債が2兆5千億円前後だったことを考えると、どれだけリスクを背負って買収にあたったかがわかる。

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ソフトバンク買収の歴史 お得な買収と出資で大成功

 ソフトバンクは過去にも大型の買収と出資を繰り返し、その度酷評されながら結果として大成功を収めてきた。
 
 代表的な例は以下の2つだ。
 
 1)ボーダフォン買収
 
 2006年に国内携帯電話会社3位ボーダフォンを1兆7,500億円で買収。買収資金の借り入れで有利子負債が2兆7,500億円に膨れ上がる。
 
 しかし、結果としてはボーダフォンの既存基地を居抜き低コストで手に入れたうえで、2008年iPhone独占販売契約(当時)により契約数を爆発的に増やした。
 
 2013年単年でEBITDA※2が1兆円に到達していることに鑑みても、如何ににボーダフォン買収がお買い得だったかわかる。
 
 2)アリババドットコムへの出資
 
 2000年、ジャック・マー氏率いるアリババドットコムへ20億円を出資。1億円の出資を希望したマー氏に対して孫正義氏は20億円の出資を逆に頼み込んだ。
 
 同社は2014年9月19日(金)にNY市場へ過去最大規模の上場を果たし、ソフトバンクの含み益は5兆円に到達し2500倍のリターンを得ている。

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スプリント買収時に実は600億節約 次の一手が重要

 
 孫正義ソフトバンク社長はスプリント買収時の会見で、膨大な借入金を疑念視する問に「ボーダフォンの時借り入れ金利は4%で今回は1%だけだ。」と満面の笑みを浮かべ、返済に自信があると解答した。
 
 実は今までの買収・出資の成功により、前回と同じ規模でも銀行からの借入金利を600億円節約していたのだ。
 
 ソフトバンクが打つ次の一手次第では、スプリント買収も超お買い得だったと言われる可能性がある。
 
 これからもソフトバンクの米国展開から目が離せない。
 
※1世界最大級のオンライントレードサイト運営会社。
 
※2税引前利益に支払利息と減価償却費を加算したもの。巨額の設備投資が必要な業界において純利益代わりの指標として提示されることが多い。

 

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