節約 社長
松尾 順
松尾 順プロフェッショナル・マーケター - ジェネシスコミュニケーション

薄々わかっちゃいてもサプライズが嬉しいワケを紐解きましょう

薄々わかっちゃいてもサプライズが嬉しいワケを紐解きましょう
 「家族や友人がサプライズを用意していることに、薄々気がついているのに、サプライズが実行されるとやっぱり嬉しい。」このような気持ちを、私達は皆持っています。その理由は、古代に遡った時に見出すことができる、人間の「偶有性」にありました。ビジネスで「偶有性」はどう活かせるのか?マーケティングのプロに解説していただきます。

わかっちゃいるけれど嬉しいのがサプライズ

 今回は、「脳」が喜ぶ仕掛けについてお話ししたいと思います。

 誕生日のお祝いのため、本人には言わずひそかに準備をし、「サプライズパーティ」をやって本人を驚かせる、あるいは逆に「驚かされた」という経験を持っている方もいると思います。

 サプライズパーティは、本人もまったく予感がないわけではないと思います。

 心のどこかで「何か企んでいるのでは」という警戒心があるはず。でも、だからこそ「脳」はうれしいのです。

節約社長
薄々わかっていたけれど、サプライズはやっぱり嬉しい

 この心理状態がどういうことかを、本日は説明します。

人は安心感と緊張感の中間にある偶有性を好む

 私たちの脳が外界の刺激に対してどのように反応するのかは、原始時代からの様々な経験を通じて形成されてきたものです。

 例えば原始時代に暗闇の中、森を歩くのは、いつどこから猛獣が襲ってくるかわかりませんので、とても怖いものだったと思われます。

 今でこそ、ライトを照らし、銃などで武装していればひとまず安心ではあるものの、松明を持つしかなく、ろくな武器もない原始時代は本当に怖く、不愉快な体験だったはずです。

節約社長
文明の利器に乏しかった古代の人々は、常に緊張感の中で時を過ごしていた

 こうした経験を通じて、私たちは先がほとんど見えない、予測できない状況には大きな恐怖や嫌悪感を抱くようになりました。

 一方、食料が豊富にあり、わざわざ狩りに出る必要もなく、ゆったりとした暮らしができる状況は楽ではあります。

 しかし、変化に乏しい毎日にはそのうち飽きてくるもの。すると、わざとちょっと危険な遊びや冒険に出かけたりして、日常に変化をつけたくなります。

 すなわち、私たちは完全に先が読める状況、変化のない状況に対しては、「つまらない、退屈」という気分を抱くようになっているのです。

 まったく先が読めないのも嫌だし、しかし、先が読めすぎるのもつまらない、そんな私たちの脳が喜ぶのが、その中間的な状態です。

 基本的な安心感があるけれど、どうなるかわからないという緊張感を与えてくれるものを、私たちは歓迎するのです。

 こんな中間的な状態のことを「偶有性(ぐうゆうせい)」と呼びます。

人は偶有性を与えられると喜びの境地に立つ

 では、「偶有性」を与えてくれるものには、具体的にはどんなものがあるかわかりますか?

 わかりやすいところだと、例えば「バンジージャンプ」や「ジェットコースター」がこれに当たります。

節約社長
怖いとわかっていても乗りたいのがジェットコースター

 もちろん、こうした遊びに対する好き嫌いに個人差はありますが、命の危険はまずないけれど「ひょっとしたら危ない」という緊張感がたまらないわけです。

 また、「ギャンブル」も偶有性を持っています。基本、負けてしまうのがギャンブルとは言え、たまに勝ったときの興奮が忘れられないので、人はギャンブルにはまってしまうのです。

節約社長
勝つか負けるかはわからない。もちろん勝つつもりだが、大抵は負けて帰るのがギャンブルだ。それでも人はギャンブルを続ける。

 常に勝ち続けるギャンブルがあったとしたら、おそらくすぐに飽きてしまうでしょう。

 さて、サプライズパーティに話を戻しましょう。

 あらかじめ本人にも日程が知らされている誕生日パーティよりも、サプライズパーティのほうが喜びが大きいのは、なんとなく予感はある状況の中で、「驚き」を与えられるからです。

 偶有性を与えられたことで、サプライズされた側の脳は喜びの境地に達します。


 

この小さな女の子は、誕生日に新しいバッグいっぱいに詰め込まれた服やお菓子を、両親からプレゼントされる。しかし、両親のサプライズはそこからで、彼女に与えられたプレゼントは、今(このあとすぐ)から、彼女が大好きなディズニーランドに行くために準備されたものだった。彼女は両親の愛情を感じると共に、予想だにしなかったサプライズに心から感動し、喜びの涙を流す。

偶有性の応用で顧客の印象を強め関係性を向上

 この偶有性の仕掛けは、他にも様々な応用ができます。

 大切なパートナーに対し、記念日などにプレゼントするのは当たり前のことですが、なんでもない普通の日に、花でも買ってプレゼントしてみましょう。

 相手は大喜びするはずです。

 お互い、大切なパートナーですから、なんらかプレゼントをしあうことは暗黙の了解としてはある。ただ、思いもしないタイミングでもらうと、まさに「偶有性」のあるプレゼントとなって喜びが倍増するというわけです。

 ビジネスにおいても、お客様の誕生日などにカードを送ったりするのは当たり前すぎて、大きな喜びを与えることはあまりできません。

 予想もしなかった方法やタイミングで、サプライズのプレゼントを贈ってみましょう。相手の印象を強くし、関係性を大きく向上できるはずです。

画像: ウィキペディア:タッシリ・ナジェール

2016年4月5日

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松尾 順
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