ヨーロッパで進む課税政策 グーグルがピンチ

節税

 英国のジョージ・オズボーン財務大臣は、多国籍企業のうち英国で得た利益を税金として払わない企業に対する課税措置、いわゆる「グーグル税」を来年の4月に新設する方針を発表した。法の国際規範であるヨーロッパ(EU圏内)で相次いで制定される米系多国籍企業への課税強化は、国際的な規範として様々な国へ飛び火することが予想される。

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着々とできる米系多国籍企業への課税包囲網

 
 先週、英国のジョージ・オズボーン財務大臣は、多国籍企業のうち英国で得た利益を税金として払わない企業に対する課税措置、いわゆる「グーグル税」を来年の4月に新設する方針を発表した。※1
 
 英国で得た利益に対して税金を支払わない多国籍企業の「租税回避」を阻止し、税収を拡大しようという考えだ。新制度の導入は2015年4月1日から開始され、税率は25%となる。
 
 オズボーン財務大臣は、今回の措置によって追徴課税総額が今後5年間で約10億ポンド(約1,880億円)程度増えるという見通しを表明している。
 
 以前節約社長編集部では、同問題に関するアップル社とEUの戦いについて、以下のニュース記事を投稿した。

✔アップル節税阻止 ヨーロッパの伝統的価値観
 
https://setsuyaku.ceo/post/23/%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%97%E3%83%AB%E7%AF%80%E7%A8%8E%E9%98%BB%E6%AD%A2%e3%80%80%E3%83%A8%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%83%E3%83%91%E3%81%AE%E4%BC%9D%E7%B5%B1%E7%9A%84%E4%BE%A1%E5%80%A4%E8%A6%B3

 記事内にもあるように、国際司法を司る裁判所は全てEU圏にあり、ヨーロッパは国際法の権威・リーダーとして大きな権力を持っている。
  
 根幹にあるのはノブレス・オブリージュ(noblesse oblige:仏語)というEU圏内の共有概念に基づく、「持つものは持たざるものを養い、カバーする社会的義務がある」という価値観である。
 
 総人口5億人を抱えるEUが、米系多国籍企業と本腰を入れた戦いをはじめたようである。

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ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ

 「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ」という言葉を読者の皆さんもよくご存知だろう。
 
 米グーグルやアップルが行っている租税回避・節税戦略や仕組みの俗称で、非課税または税率のきわめて低いアイルランドに海外本社・関連会社を二社設立し、タックスヘイブンや税率の低いオランダを含む複数の国に設立した子会社に、親会社と関連会社間の売り上げを経由させる節税手法である。
 
 これをよしとせず、イタリアでは昨年既に、グーグル社に対してイタリアで広告を出す場合、同国企業を通じた取引を義務付ける法律を可決した。
 
 イギリスが今回「ダブルアイリッシュ&ダッチサンドイッチ」を崩しにかかったことで、EU内第一の経済大国ドイツがどのように動くかが、次の注目ポイントとなる。

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各国が生き残りかけ時代に合わせた税金収集

 ユーロ高や新興国経済の減速を受け、ドイツを除くEU各国では輸出・内需共に伸び悩みが顕著である。特に内需面で実店舗を持つ小売業が、オンラインに市場を奪われ税収減となっている。政府も躍起になるのは当然だ。
 
 いずれは国際的に同じ兆候が見られるようになるであろう。アメリカしかり日本しかり、いずれ自国に税金を落とさぬアップルやアマゾンと大きな戦いを交える時が来るはずである。
 
 
※1 BBC News Business
http://www.bbc.com/news/business-30319845
※写真画像 Wikipedia「Google」より引用
http://ja.wikipedia.org/wiki/Google

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