毎月400円の支払で国から掛金の7倍をゲットできる年金制度

節税

 国から平均で掛けた金額の7倍以上もらえるおいしい制度の正体とは、「付加年金」という制度です。付加年金制度とは、付加保険料月額400円を60歳になるまで毎月納付すると、65歳から毎年掛金総額の半額が支給されるというものです。2年で元本を回収することが可能かつ、税金面でも公的年金控除の対象として課税対象から外れるなど、非常にお得な制度と言えます。

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平均で国から掛け金の7倍もらえる制度とは?

 支払った金額の平均7倍以上将来もらえる?

 それも国から?

 怪しいと思ったあなた。ごく正常です。それも国からもらえるなんて・・・

 それがそれが、日本にはそんなおいしい制度があるのです。

 ただし、残念ながら全員ができるわけではありません。

 この制度に加入できる人はある意味ラッキーです。

 いずれ加入の対象者となられる方もいらっしゃるでしょうから、参考になれば嬉しいです。

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第一章:おいしい制度の正体は付加年金だった

1)付加年金とはどのような制度?

 国から平均で掛けた金額の7倍以上もらえるおいしい制度の正体とは、「付加年金」という制度です。

 付加年金について簡単に説明すると、付加保険料月額400円を60歳になるまで毎月納付すると、65歳から毎年掛金総額の半額が支給されるというものです。

 それも、生きている間ずっとです。

 例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めた場合の掛金総額は、月額400円×40年×12ヶ月=192,000円ですね。

 65歳からは掛金総額192,000円の半額である96,000円が毎年支給されることになります。

 別の例でも説明しましょう。

 例えば、50歳から60歳まで10年間、付加保険料を毎月納付した場合の掛金総額は、月額400円×10年×12ヶ月=48,000円となります。

 したがって、65歳から毎年48,000円×0.5=24,000円の支給を受けることができます。

 この、付加年金の保険料は、ずっと据え置きが続いています。

 国民年金の保険料や、厚生年金の保険料が毎年アップしていることを考えると、非常に「お得」と言えます。

2)付加年金制度を利用できる人の対象要件は?

 おいしいこの制度ですが、どなたも加入できるわけではありません。

 加入できるのは、国民年金を納付している人で、もっと簡単に言えば、商売をしている人・学生です。

 サラリーマンは、勤務先で厚生年金に加入されているため加入できません。

 サラリーマンでも、勤務先で厚生年金に加入していなければ、国民年金納付者ですので加入できます。

 つまり、この「付加年金」は国民年金にプラスして納めるものなのです。厚生年金に加入しているサラリーマンの方は、残念ながら加入できません。

 ただし、国民年金を納めている人でも、次の人は加入できません。

  • ・農業者年金に加入している人
  • ・国民年金基金に加入している人
  • ・国民年金保険料の全部又は一部の納付を免除されている人。

3) 付加年金のデメリット

 付加年金のお得度は第二章から説明しますが、付加年金にはデメリットもあります。

 それは唯一、66歳より前に死亡してしまうとお金をもらえなくなることです。

 健康でも交通事故に遭うかもしれません。急に病気になるかもしれません。こればかりは、死亡してから結果がでるものです。

 でも、平均寿命が男性でも80歳位ですから、確率から言ってもらい損ねる可能性は低いですね。

 以上の付加年金制度概要は「日本年金機構」のホームページでも確かめていただけます。

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第二章:知ってる?付加年金はこんなにお得!

1) 付加年金はたった2年でもとがとれる!

 先に説明したように、付加年金は掛金総額の半額が毎年もらえるということは、65歳からもらいはじめて、66歳でもらうと、その時点で元がとれることになります。

 数字で確認しましょう。

 20歳から60歳まで毎月付加保険料を納めて人の掛金総額は、月額400円×40年×12ヶ月=192,000円でしたね。

 65歳から毎年掛金総額192,000円の半額96,000円の支給を受けられるということは、掛金総額と受給額累計額とを比較すると

年齢 掛金総額 受給額 受給額累計 対掛金総額比
65歳 192,000 96,000 96,000 50%
66歳 192,000 96,000 192,000 100%

 つまり、66歳まで生きれば、たった2年でもとがとれることになります。

 それから先は、生きれば生きるだけ得するということですね。たった2年でもとがとれるのは、付加年金の納付期間が短い場合でも同じです。

 こんな制度がなぜ存在するのでしょうか。

 国民年金を納付すべき人のうち、実際に納付している人の割合(国民年金納付率)がどんどん下がっていて、厚生労働省の発表によると、2011年度の国民年金納付率は、58.6%となっています。

 つまり、10人に4人は国民年金を納付していないということになります。

 この「付加年金制度」は、国民年金を納めている人へ国からのちょっとしたご褒美と言えるかもしれません。

2) やっぱり掛け金は7倍以上になる!

 付加年金がどれだけお得か、更に突っ込んで確認しましょう。

 20歳から60歳まで付加年金を納めた場合、年金額は次のとおりとなるのでしたね。

 200円 × 480月(40年) = 96,000円(毎年)

 それほど長生きしなくても、平均まで生きたとしましょう。

 2011年の日本人の平均寿命は、男性79.44歳、女性85.90歳です。

 その場合のもらえる付加年金総額は

  • ・男性 96,000円×(79.44歳-65歳)=1,386,240円
  • ・女性 96,000円×(85.90歳-65歳)=2,006,400円

 男性で掛金の7.22倍、女性で10.45倍にもなります。平均寿命まで生きてこの数字です。

 もし100歳まで生きた場合の付加年金支給額は、96,000円×(100-65)=3,360,00円となり、何と掛金の17.5倍もの金額が国から支給されることになるのです。

年齢 掛金総額 受給額累計 対掛金総額比較
65歳 192,000円 96,000円 50%
66歳 192,000円 192,000円 100%
67歳 192,000円 288,000円 150%
68歳 192,000円 384,000円 200%
79.44歳 192,000円 1,386,240円 722%
85.90歳 192,000円 2,066,400円 1045%
100歳 192,000円 3,360,000円 1750%

3) まだまだお得(税金編)

 2)では、掛金総額と支給される金額との比較でお得度を説明しました。

 じつは、付加年金がお得なのはそれだけではないのです。税金でも有利になっているのです。

 まず、掛けた付加保険料は、全額所得控除の対象になるため税金の対象から引いてもらえることになります。

 例えば、付加年金を払わない場合の税金対象が200万円である場合の所得税、住民税はおおよそ次のようになります。

  • ・所得税 200万円×10%-97,500円=102,500円
  • ・住民税 200万円×10%=20万円
  • ・合計  302,500円(平均税率15.1%)

 この人が毎月400円(年間4800円)の付加年金保険料を払うと、4800円が税金対象の金額から引かれますので、

  • ・所得税 (200万円-4,800円)×10%-97,500円=102,020円
  • ・住民税 (200万円-4,800円)×10%=199,520円
  • ・合計  301,540円(960円負担減少でさらにお得)

 税金の負担が年間1000円程度少なくて済むのです。

 何だ、たった1000円かなんて言わないでください。

 今や利息が年0.03%もつかない定期預金で利息1000円がもらえるためにはいくら貯金しなきゃいけないか考えてください。

 所得の多い方ですと税率が最高50%ですので、逆に言えば掛けた付加年金保険料の半額分の税金が安くなることになります。

4) まだまだお得(受給編)

 付加年金が税金面でお得なのは、掛金を払うときだけではありません。年金としてもらうときも税金面で優遇されます。

 民間の保険会社から年金をもらえば、「受給額-対応する掛金総額」が税金の対象になってしまいます。

 でも、付加年金のような公的年金は公的年金控除といって、税金対象になる金額が少なくなるように優遇されています。

 国民年金+付加年金の場合、受給額がこの公的年金以下になることが多いと思われますので、受給額に対する税金はかからないのです。

 保険料を掛けるときもお得、もらう時もお得。お得のオンパレードです。

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第三章:付加年金の手続き

1) 加入の手続き

 付加年金の申し込み先は、お住まいの市区町村役場となっております。年金手帳、そして、本人でない場合は認印を持って窓口へ行ってください。

 職員の方に付加年金へ加入したい旨を伝えると『国民年金付加保険料納付申出書』を渡されるので、必要事項を書き込みます。

 氏名・住所等、基本的な情報なのですぐに終わるでしょう。

 付加年金の加入手続きは、それで完了です。

 付加保険料の納付は、申し込んだ月分からになります。

 しばらくすると納付書が送られてくるので、金融機関やコンビニで保険料を納めてください。

2) 納付の方法

 1) 月々の保険料を納付書で納める場合
 後日送付される付加保険料込みの国民年金の納付書を使って、近くの金融機関やコンビニエンスストア等で納めます。
 2) 国民年金保険料を前納で納付済みの場合
 後日送付される付加保険料の納付書を使って、近くの金融機関やコンビニエンスストア等で納めます。
 3) 月々の保険料を口座振替(クレジット)で納める場合
 指定の口座から、付加保険料込みの国民年金保険料が引き落としされます。

 ただし、金融機関等への手続きの関係で、申出後1か月から2か月は付加保険料の納付書を使って、お近くの金融機関やコンビニエンスストア等で納める場合もあります。

3) 付加保険料の納付期限

 付加保険料はその月の翌月末(納期限)までに必ず納めてください。

 月末が土曜日、日曜日、休日等にあたる場合及び年末の納期限は、翌月最初の金融機関等の営業日となります。

4) 納付期限までに納付しなかった場合

 付加保険料を翌月末までに納められなかった場合、その月から付加保険料を納めることができなくなります。

 再度、付加保険料の納付を希望する場合は、改めて申出が必要となります。

 お得な制度だけに、納付についてはとても厳しくなっています。うっかり忘れないようにしましょう。口座振替で納めるのが得策と言えます。

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まとめ払いは不可 できるだけ早く加入手続きを

 今まで年金を滞納していた人が、過去2年間または免除期間の追納分をまとめて支払おうという時に、「付加年金も一緒に払おうか」と思うことがあります。

 しかし、先に説明したとおり、付加年金の加入は申出をした月からです。過去の分について付加保険料を納めることはできません。

 以上、国民年金の付加年金制度について説明してきました。額は小さいですが非常にお得な制度ですよね。

 加入条件を満たす方は早ければ早いほどお得になる制度ですので、できるだけ早く加入手続きをとってください。

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米津晋次

よねづ税理士事務所(米津晋次税理士事務所)所長

システムエンジニア出身の税理士。
平日夜10時まで、休日も出来る限り対応するなど「税理士もサービス業である!」を基本に
相談しやすい税理士事務所を目指しています。
経営革新等支援機関として、会社設立・補助金申請・融資申込支援に、
また、利益拡大のための考え方「戦略MQ会計」の普及に力を入れている。

税理士、第一種情報処理技術者、第一種パソコン財務会計主任者、弥生会計公認インストラクター
西研究所MGインストラクター、起業支援専門家ネットワーク「ドリームゲート」アドバイザー、
株式会社みらい代表取締役

【 著書 】
・「利益が見える戦略MQ会計」(共著)かんき出版
・「徹底解明会社法の法務・会計・税務」(共著)清文社
・「税理士が教える『得するパートタイマーBOOK』」労務行政
・「社長の右腕」(共著)データエーシジェント

【 主な雑誌等掲載実績 】
・「やじうまテレビ!」(テレビ朝日) ・「生活衛生だより」(日本政策金融公庫)
・「月刊経理WOMAN」(研修出版) ・「月刊企業実務」(日本実業出版社)
・ビジネス情報サイト「海」bizocean(ミロク情報サービス)
・「お仕事サポートニュース」(アスクル)

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